6日の米株式市場で電気自動車(EV)大手のテスラが急反発し、前日比9.74%高の319.50ドルで堅調に終えた。上昇率は2015年11月4日(11.17%高)以来、2年7カ月ぶりの大きさを記録した。テスラ株の下落に賭けていた空売り投資家が大きな損失を被ったのではないかとの見方が出ている。
5日の米東部時間夕に株主総会を開催し、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が生産が遅れている量産車のモデル3の生産目標(6月末時点で週5000台)について「かなり達成できそうだ」との見解を示した。5日の時間外取引でも買いが優勢となっていた。
株主総会を踏まえ、ロバートWベアードは6日付のリポートで投資判断のアウトパフォーム、目標株価411ドルを維持した。モデル3の週5000台生産という目標達成に加え、総会で「2018年7~9月期(3Q)、10~12月期(4Q)に米国会計基準ベースで最終黒字、キャッシュフローが黒字に転換するだろうとの見通しが示されたことが重要だ」と指摘。「短期的にはモデル3(の生産動向)に投資家の関心が向かうだろう」としながら、財務が改善する見通しが示されたことを評価していた。
★テスラの月足チャートと空売り残高(QUICK FactSet Workstationより)
米経済専門チャンネルのCNBCが米調査会社のS3パートナーズの分析として報じたものによれば、空売り投資家の損失は6日だけで10億ドル以上に達したとみられるという。2016年から空売りしていれば、50億ドル近い損失が出たとみられるといい、6日の一日だけで過去2年半の空売りの損失の5分の1が発生したと推計されるという。
テスラは空売りの多い銘柄として知られ、QUICK FactSet Workstationによれば5月末時点の空売り残高は3887万7708株。米マーケット・ウォッチによれば発行済みの浮動株に対して約30%を占める状況となっていた。(片平正ニ)
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