RIZAP、プロ経営者招聘で次にコミットするものは

RIZAPグループ(2928)は28日、カルビーの松本晃会長兼最高経営責任者(CEO)を6月に新設する最高執行責任者(COO)として迎え入れると発表した。松本氏は6月20日付でカルビーの会長兼CEOを退任し、RIZAPグループの既存事業の経営に加えて成長領域と位置づけるヘルスケア分野への本格展開や海外展開の戦略策定も担当する見通しだ。

松本氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人社長などを経て、2009年に業績が停滞していたカルビーの立て直しを依頼され、会長兼CEOとして招聘されたプロ経営者だ。カルビーでは就任直後から改革を次々に断行。高コスト体質の脱却に加えて、ドライフルーツが豊富に入ったシリアル「フルグラ」を収益の柱に育成したことなどにより、売上高は約2倍、営業利益率は4倍という急成長に導いた凄腕の持ち主だ。

だが、今年3月末に突如、本人の申し出により6月の株主総会時で会長兼CEOからの退任を発表。カルビー株は1割近く急落した。市場が松本氏の経営手腕を高く評価していた証左だろう。松本氏は会長兼CEOを退任した後もシニアチェアマンとして、経営の執行に関わらない立場でカルビーの対外活動をサポートするとの意向が示されていただけに、今回のRIZAP招聘を快諾したことのインパクトは大きそうだ。

RIZAPは2021年3月期に売上高3000億円、営業利益350億円を目標に掲げ、経営不振企業を中心に積極的なM&Aを展開。業績を拡大しているが、負ののれん代で利益をかさ上げしているとの指摘もある。買収企業で黒字転換するケースが散見され始めたものの、グループの業績をけん引するまでには至らない企業ばかりであり、松本氏の経営手腕が存分に発揮できる環境と思われる。

RIZAPは、松本氏の招聘以外にも様々な開示を発表した。まず、7月末時点の株主に対して1対2の株式分割を実施。9月末時点の株主に対して創業15周年記念の特別株主優待を実施する。既存の株主優待制度に関しては、毎年3月末時点の株主に付与する株主優待ポイントの利用期間を現行の1年から3年に延長し、最低保有株数は分割後も100株として実質的な優待拡充とした。

一方で、発行済み株式の9.1%に相当する最大2330万株の公募増資(公募2027万株、OAによる追加売り出し303万株)も打ち出した。調達資金は最大394億円で、RIZAP関連事業への成長投資、グループ全体のシナジー強化に向けた経営基盤構築のための戦略的投資、財務体質強化のための借入金返済に充当するとした。

通常ならば公募増資は1株利益の希薄化や需給悪化懸念により、大きく売り込まれるケースが多いのだが、今回は株式分割、記念株主優待の実施、既存株主優待制度の拡充などの対策を講じたことでネガティブインパクトは相殺されそう。29日の株価は前日比12%高で寄付いた。

また、冒頭で述べたように、プロ経営者の松本氏を招聘したことは、RIZAPグループの業績を飛躍させる期待感を高めるとみられるほか、現在の上場市場である札証アンビシャスから東証1部への市場変更の布石としてもポジティブに評価されるのではなかろうか。東証1部市場変更の要件である株主数、流通株式、売買高、時価総額、純資産額などの項目については、いずれも満たしているとみられ、会社側が東証に申請すれば市場変更は承認されるとみられている。

ちなみに、もともと非上場だったカルビーは松本氏を招聘した2年後に東証1部への新規上場を果たした。カルビーの上場日は奇しくも東日本大震災に見舞われた2011年3月11日で、初値は公募価格と同値で寄り付くなど、さほど高い評価は得られていなかった。が、その後は業績拡大とともに目覚ましい株価上昇が続き、上場から約4年後の2015年4月には株価が上場時の初値から約11倍にまで上昇して「テンバガー」を達成した経緯がある。松本氏の経営手腕でRIZAPグループ本体のみならず、子会社の業績動向にも注目が集まりそうだ。(本吉亮)

<RIZAP関連の上場企業一覧>

RIZAPグループの株価 月足 QUICK Qr1多機能チャートより

*本情報は、現時点までの値動きの分析であって、現在または過去における有価証券の価値の情報を提供するものであり、将来における有価証券の価値(値上がり益、利子、配当等の経済的価値)に関する情報を提供するものではありません。

 

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。

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