28日の欧州市場でイタリアのMIB指数(グラフ青)は2.07%安となった。終値ベースで2万2000割れとなった3月5日以来、2カ月半ぶりの安値圏に沈んだ。個別銘柄では、ウニクレディトが3.83%安、バンコBPMが6.57%安と大幅安となり、政情不安を受け金融株の下げが大きかった。
イタリアの政治リスクが警戒され、欧州版恐怖指数のVSTOXX(グラフ紫)は4日続伸し10.99%高の17.78で終えた。一時は18.52まで上昇し4月初旬以来の高水準に達した。投資家心理の警戒感を示すとされる20の大台が視野に入ってきた。
イタリアのMIB指数とVSTOXXの日足チャート(QUICK FactSet Workstationより)
欧州中央銀行(ECB)が月間300億ユーロの規模で行っている量的緩和(QE)に基づく資産買入の期限は9月までとなっている。イタリアの政治情勢が長引き、通貨ユーロや欧州債券市場が不安定となれば、ECBの金融政策への影響も警戒されそうだ。
エバコアISIは28日付のリポートで、「現時点でコッタレリ新首相は議会の信認を得ることは無さそうで、不信任となった場合には9月か10月に再選挙が行われることになりそうだ」と指摘した。その上で、「3月の選挙当時と政治情勢を巡る状況は変わっておらず、夏から投票日まで市場には不快な状況が続くだろう」と指摘。その上で「イタリアの政治情勢は年内にQEを完了する見込みだったECBの決断にも影響を及ぼしそうで、6月理事会でQEの縮小が示されるのが基本シナリオだったが、7月か9月まで政策変更が示されない可能性が出てきた」と指摘した。(片平正ニ)
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