くら・スシローGHが高値 下げ相場に強い「海外市場をがっちり握る外食」

ほぼ全面安の24日の東京株式市場で、外食チェーン株が逆行高となった。北朝鮮情勢や貿易摩擦を巡る不透明感が再び強まるなか、業績が国際情勢の影響を受けにくい消費関連株に買いが集まった。なかでも上昇が目立つのが、回転ずしのくらコーポレーション(2695)など海外展開に力を入れる銘柄だ。人件費の高騰や人口減で国内消費市場は頭打ちが見込まれており、消費関連株ならば何でも買われる地合いではない。投資家は戦略の違いを見極めながら資金を振り向けている。

◆くらコーポレーション◆

24日はくら株が1.1%高、同業のスシローグローバルホールディングス(3563)株が1.5%高となり、ともに年初来高値を更新した。昨年末比の上昇率はくらが2割超、スシローGHは4割超と右肩上がりが続く。米中貿易摩擦などへの懸念の裏返しでディフェンシブ銘柄が物色される流れに乗っているが、焼き鳥チェーンの鳥貴族(3193)が年初来で20%超下げるなど、外食株がすべて好調なわけではない。

◆スシローグローバルホールディングス◆

 

◆鳥貴族◆

外食株のなかでのパフォーマンス格差について、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎・主席研究員は「海外展開が順調な銘柄ほど市場の評価が高い」とみる。

外食各社を取り巻く国内の市場環境は厳しい。パーソルキャリアのまとめでは、全国のアルバイトの平均時給は4月に1037円と前年同月比で40円(4%)増えた。外食企業の人手不足は一段と深刻になっている。顧客となる家計の懐具合についても「2017年前半から進んだ非正規雇用者の正社員化が一巡しており、所得の伸びは今後ピークアウトする可能性がある」(大和総研の小林俊介エコノミスト)。コスト増と消費鈍化の懸念が国内事業の逆風だ。

そこで関心を集めるのが、「海外の内需」を取り込む企業だ。くらは米国と台湾に展開。18年10月期にそれぞれ5店の新規出店を計画し、市場が大きい米国では「将来的に年間出店ペースを10店に加速させていく」(IR事業部)方針を示している。スシローGHも18年4~9月期にすでに進出している韓国で3店舗、新たに展開する台湾で3店舗を開業する予定だ。来期には別の国への展開を検討する。

空前の日本食ブームを追い風に、海外では強気な価格設定も可能だ。くらのすしの1皿当たり価格は米国で約270円、台湾では約140円。日本(税別100円)より高い。台湾の売り上げが好調で、18年10月期の海外売上高は約100億円と前期比で47%の増加を見込む。会社は「国内の既存店売上高を維持しつつ、海外事業のアクセルを踏んで成長していく」と説明する。

もちろん海外進出が投資家に評価される前提として、国内事業の安定が不可欠になる。ステーキ店を展開するペッパーフードサービス(3053)の株価は4月に付けた年初来高値を3割近く下回る。同社もアジア地域を中心にフランチャイズ店を出すが、4月に「いきなり!ステーキ」の国内既存店売上高が13カ月ぶりに前年同月を下回り、失望売りが膨らんだ。対照的に、くらやスシローGHの既存店は足元でプラスを維持している。

◆ペッパーフードサービス◆

「人材を確保できない一部の外食企業では今後、生産性の低下が表面化する可能性がある」(リブラ・インベストメンツの佐久間康郎代表)。伸びしろをどこに求めるのかという企業の戦略に応じて投資する姿勢が必要になりそうだ。

【日経QUICKニュース(NQN ) 田中俊行】

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