トヨタは必達目標、日本紙は努力目標? 業績予想にはクセがある

4月中旬からスタートした上場企業の2018年3月期決算の発表がほぼ終了した。決算で注目すべきポイントはいくつもあるが、その一つに前期実績が直前の会社計画を超えたのか届かなかったのかが挙げられる。一過性の場合などを除き、業績未達となった銘柄は今期も苦しく、計画以上だった銘柄は今期も勢いが続く公算が大きい。

決算と同時に発表される今期見通しも重要。業績予想が保守的なのか、努力目標なのかを見極める必要がある。

そこで会社側が期初に示した予想に対し、最終的に業績が追いついたかどうかを検証し、その企業の性格を探ってみよう。期初計画を最低限の水準として開示する保守的な企業の場合、通期での達成はもちろん、期中に幾度ともなく上方修正する傾向がある。一方、努力目標のような位置づけで期初の予想を出す企業は、期中での進捗率が芳しくなく、最終的に計画が達成できないことが多い。四半期ごとに下方修正する企業もある。

3月期決算企業で過去17期(2000~2016年度)に期初計画(営業利益ベース)を達成したかどうかを集計した。日経平均株価の採用銘柄で、10期以上の業績予想と決算の発表実績がある企業が対象だ。

達成率が9割を超える企業は、期初計画が最低ラインとみてよいだろう。このため下方修正のリスクは極めて低い。トヨタは計画未達が1回だけ。自動車メーカーは保守的な見通しを示す企業が多いが、トヨタは別格だ。2017年度は期初計画で市場予想を大幅に下回る減益見通しを示したが、その後は四半期決算ごとに上方修正した。18年度の期初予想は市場予想の平均値でありQUICKコンセンサスを上回り、ポジティブサプライズを与えたが、過去の傾向からみて今回の計画も保守的に見積もっているとみられる。

そのほか達成率の上位クラスには、東武、京王、JR東海など鉄道株が名を連ねる。鉄道運営企業は景気変動の影響を受けにくく、業績下振れリスクが低い。同様に電力・ガスも保守的で計画を上回る傾向がある。やや意外感があるのは大手ゼネコン(大成建設、清水建設)や大手不動産(住友不、三井不、三菱地所)あたりか。比較的株価の値動きは大きいが、手堅い業績予想を出すため、計画未達で終わるケースは少ない。

一方、期初計画の達成率が低い銘柄群には注意が必要だ。日本製紙は達成率が11.8%と計画未達の常連。同業の王子HDも達成した期は3割程度だ。業界大手2社がこの状況なだけに、同業他社の業績予想にも目を光らせる必要がありそうだ。

業績が堅いイメージがある日水、マルハニチロの水産2社も計画達成率が低く、2割程度。日化薬、塩野義などの製薬企業や、食品大手の日本ハムも計画未達が多い。そのほか、業績不振が続くパイオニア、NEC、板硝子なども計画未達が目立つ。価格変動や景気動向に大きく左右される電子部品でも計画未達の銘柄が散見される。カシオや京セラ、太陽誘電などの業績は下振れリスクを頭に入れておくのが賢明かもしれない。(本吉亮)

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