【注目銘柄】お待ちかね、メルカリ上場 見えてきたその実力と課題

フリマアプリ最大手のメルカリ(4385)の東証マザーズ市場への新規上場がようやく承認された。上場日は6月19日。国内外で公募1815万9500株、売り出し2255万4800株、オーバーアロットメントによる追加売り出しを上限284万500株実施する。想定仮条件(2200~2700円)から算出される時価総額は3000億円超で、マザーズ市場で首位のミクシィ(2121)を上回る見通し。メルカリは、日本で2社しかないとされるユニコーン企業(評価額が10億ドル超の未上場スタートアップ企業)で注目度が高かった。順調なら昨年末新規上場予定だったはずが、現金や盗品出品などが社会問題化し、その対応に追われて上場時期が半年延期される形となった。それだけに、メルカリの新規上場を待ち望んでいた投資家が多かったのだろう。上場承認直後のEDINETにアクセスが殺到し、メルカリの有価証券報告がしばらく閲覧できない状況が続いた。

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ようやく閲覧できたメルカリの業績を確認して驚いた投資家は少なくなさそうだ。というのも、メルカリが今回の有報提出前に業績を開示したのは2016年11月の決算公告。その際に開示した2016年6月期業績は、売上高が122億5600万円(2015年6月期は42億3800万円)、営業損益は32億8600万円の黒字(同11億400万円の赤字)、純損益は30億円1100万円の黒字(同11億500万円)だった。黒字に転換しただけではなく、営業利益率が3割弱にも達していた。プラットフォーマーの特性上、一度損益分岐点を超えると利益率が高まりやすいうえ、その後のメルカリユーザーの拡大等を踏まえると、どの程度利益が拡大しているのか期待されていた。

しかし、今回の有報で確認できた2016年6月期業績(連結ベース)は、売上高が122億5600万円、営業損益が4200万円の赤字、純損益が3億4800万円の赤字。2017年6月期(連結)は売上高が220億7100万円と伸びながら、営業損益は27億7500万円の赤字、純損益は42億700万円の赤字と悪化した。今期の2018年6月期業績(連結)に関しては、3Q累計(7~3月期)で売上高が261億4700万円、営業損益は18億9600万円の赤字、純損益は34億3400万円の赤字となっていた。以前公表していた決算公告は単体ベースの業績で、今回開示された有報では連結ベースという違いがあり、海外事業の赤字はある程度予想されていただろうが、これほどまで赤字額を計上していたとは想定外ではなかろうか。赤字の主因は広告宣伝費で、主に海外事業(米国および英国市場)に積極投資を行っていることが要因とされる。

日本事業に関しては順調に業績拡大を続けているが、懸念材料は少なからずある。現金出品問題の影響で換金性のある品目の出品が相次いで制限され、株主優待がらみの売買が禁止となった。楽天系のフリマアプリ「ラクマ」は、メルカリで必要な10%の出品手数料(売買成立時の手数料)が無料となっているうえ、株主優待を自由に売買できるなど規制も少ないため、メルカリからラクマに流れたユーザーは一定数いるとみられる。今後も何からの出品規制などが発動されるとユーザー離れが起きることに留意したい。

連結業績赤字の主因となっている海外事業に関して、英国では出品手数料無料でユーザー数の拡大に務めている段階のため黒字化には程遠そうだ。注力する米国ではユーザー数および流通総額は拡大し、一定規模を達成すれば広告宣伝費などのコスト抑制で黒字化できるような見通しを示しているが、強力なライバルがひしめき合っているだけに一筋縄ではいかないだろう。米国事業は2014年9月にサービスを開始し、2016年10月から手数料徴収を始めたとされるが、メルカリが開示している2017年6月期の単独ベースの売上高(日本事業)が212億円に対して、連結ベースの売上高(海外事業含む)が220億円とさほど変わらないところをみても、海外事業の収益化の道のりは遠そう。たとえ黒字化できたとしても、日本事業のような成功を収める至難のワザかもしれない。

会社側も、事業に関するリスク要因のひとつに海外連結子会社の業績を挙げている。そこでは、「有料化後もサービスの更なる発展やユーザー層の拡大のための投資により、一定期間における赤字計上の継続を想定しているが、想定通りに事業拡大が進捗せず、継続的な広告宣伝費用や追加投資その他の負担で米国および英国における赤字計上が想定より長期に及ぶ、もしくは拡大する場合はグループ事業、業績、財政状態に影響を及ぼし短期的な連結業績の損失計上額が拡大する可能性がある」と記載しているが、この懸念が現実のものとなる可能性はある。

メルカリはシェアリングエコノミーの中核銘柄として注目度が高く、今後の成長期待度から新規上場時の初値は高騰すると思われるが、その後も右肩上がりの業績成長および株価形成ができるか否かは不透明だ。楽天を筆頭に日本のEC企業は海外進出にことごとく失敗した経緯があるだけに、メルカリも海外事業の黒字化に手間取ると期待度が徐々に低下し、「上場ゴール」案件などと揶揄する投資家が出てきかねない。(本吉亮)

 

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