日経平均は2月12日引け値で1万5000円を割りこみました。2014年10月21日以来、1年4カ月ぶりの1万5000円割れです。年初の1万9000円の高値から1ヶ月半ほどで4000円の下落で2割以上下げたことになります。
この相場下落について「長期的には買い場が来ている」との指摘も増えてきていますので、「QUICK Money World」にあるマーケットカレンダーで2月と3月のアノマリーを振り返りながら、3月の相場を大胆に予想してみました。
2月は売り先行の月
「セル・イン・メイ」という言葉を聞いたことがあると思います。米国でとても有名な格言で、「株は5月に全部売ってしまい、夏は相場が枯れるのでポジションを持たずに過ごし、ハロウィーンの頃に相場に戻ってきてまた株を仕込むのが年を通じては一番好いパフォーマンスになる」というものです。これを過去の実績で検証すると非常に成功率の高い投資だということが判ります。このように、株式市場において、合理的な説明はできないけれども、過去の経験則から起こりがちな株価の季節性などをアノマリーといいます。
2月で有名な格言には「節分天井、彼岸底」があります。2月の節分頃に天井を付けて、3月の春分の日の彼岸の頃に底値になるということなのですが、いろいろな人がこのアノマリーの信憑性を実証していますが、あまり検証結果は芳しくありません。ただ今年は直近高値が2月1日の1万7905円です。このアノマリーが今年は当たっているとするなら、3月後半まで下げる可能性もあるかもしれません。
さて、日経平均の勝率面での「特異月」についても確認しておきましょう。1976年以降で月ごとの勝率が高いのは、12月が68%、4月が65%、1月と11月が63%とこの4ヶ月がベスト4です。したがって、アノマリー的には、12月に掉尾の一振で上げた後、1月に天井を付け、2〜3月は調整から切り返し、4~5月にかけて今年前半の高値をつけにいく季節性のパターンが読み取れます。2月の勝率は54%です。下げの特異日をみると、勝率が30%台なのが、3日、5日、9日、20日、21日です。アノマリー的には、月前半の下げ日が多く、後半21日を経過すると上げの日が多くなってきます。特に25日は勝率80%の上げ特異日です。今年は下げの特異日20日、21日が週末となるため、むしろラッキーかもしれません。
これらのアノマリーを総合すると、足元の相場は底値固めをしている、とみることもできるでしょう。
3月は中央銀決定会合を経て実質最終商い日にかけてジリ高
さて、3月の月間の勝率は59%で、とりわけ高い月ではありませんが、アノマリー面では市況改善が見込まれます。
というのも、2月よりは勝率が上がることに加え、2月に5日もあった上昇率30%台という下げの特異日が1日もありません。一方、上げの特異日は15日の79%、18日の71%と、この2日が70%を超えます。70%こそ超えませんが、年度末権利付き最終日前後である26〜28日あたりの上げる確率も高くなっています。権利付き最終日を控え、配当、分割、株主優待などの権利確定の買いが増えるのと、機関投資家、特に金融機関が年度末を控え3月3週くらいまでに年度内の売りを終了するためだと思われます。
3月のアノマリーを実際の経済カレンダーと合わせてみましょう。11日が東京市場のメジャーSQです。10日には、ドラギ総裁が追加利下げを示唆した欧州中央銀行(ECB)理事会があります。14〜15日が日銀決定会合、15〜16日が米連邦準備委員会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。SQの11日、決定会合の15日が上げの特異日であることが注目されます。
そして4月は月間の上げが65%と12月に次いでもっとも上げる月になります。4月は金融機関などの新年度でまた買いから入る投資家が多いのと、年金のニューマネーの配分が4〜5月にあるためだと言われています。今年もアノマリー的には日経平均が4〜5月に年初来高値をつけてくる期待が強いです。仮に4〜5月に1万9000円以上を目指すなら、3月は月後半にかけて1万8000円程度を目指す展開が期待されるのではないでしょうか。