決算発表シーズンも佳境。米国ではS&P500採用銘柄の89%に相当する444社が決算を発表し、78.8%の企業の1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回った。市場予想を上回るポジティブ・サプライズの比率としては1994年以降の平均(64%)を上回る好調なシーズンで、米減税策などを受けてEPSの成長がピークを迎えるのでは無いかと警戒された割に好調な米決算シーズンとなっている。主力企業のアップルが決算を前後して8日続伸しており、時価総額で1兆ドルの大台乗せが視野に入っている。
一方、国内では8日にトヨタ(7203)が異例の場中決算を行い、今期の通期業績予想で売上高以外が市場予想を上回ったことで決算後に株高が進んだ。市場からは「好業績見通しを発表して、株価も上がれば今後は場中決算が増えるんでしょうか? 大引け後の決算ですとファースト・リアクションが海外市場で出てしまいますけど、場中決算なら日中の商いも増えて良いことずくめです」(国内証券)と、トヨタが率先して場中に決算を行ったことを評価する声が出ていた。
一方、日経平均株価のEPSは9日終値時点で1722円と過去最高水準にあり、株価収益率(PER)は13倍程度で割安感は根強いまま。ドル円が109円台半ばでドル高・円安基調が戻りつつあり、110円の大台を回復するようだとさらなる日本企業の業績改善期待が高まり、上値追いが再開される可能性がある。
きょうのところは11日のミニSQを控えて2万2500円の行使価格を意識する展開が見込まれるが、週明け以降は米朝首脳会談を前に地政学リスクが和らぐことが見込まれ、上値トライの環境は整いそうである。なお前日の大引け後に決算を発表したソフトバンクG(9984)のピンクシートが米国市場で小幅高で終えており、日経平均株価を6円ほど支える見込み。夜間PTSでは下げていたが、アナリストからは好評価が出ており、指数の押し上げが期待されそうだ。(片平正ニ)
※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。