1ドル=110円は「時間の問題」 増えるドル強気派、踏み上げから主役交代

外国為替市場で円の対ドル相場がするすると下落し、気づけば節目の1ドル=110円が視野に入ってきた。3%を超えてきた米国の長期金利上昇が、円相場を押し下げている。円売り・ドル買いの主役は、ドルに弱気だった投資家による損失覚悟の買い戻しである「踏み上げ」から、ドル強気派の新規の買いに交代してきたもようだ。市場参加者の間では「110円は時間の問題」との声も出ている。

「おとといあたりから雰囲気が変わった」。みずほ銀行国際為替部の佐藤大次長は、海外勢を中心に新規のドル買いが目立ってきたと指摘する。円相場は26日朝には一時109円49銭近辺と2カ月半ぶりの安値を付けた。

円は3月下旬に今年の高値104円台半ばを付けた後、下げ基調に転じた。緩やかな円安を促していたのはドル弱気派による利益確定などが目的の買い戻しが中心だった。今週に入ると円安のピッチは速まり、日本時間20日は107円台半ばだった円は短期間で2円も下落し、110円台が意識されている。

変化のきっかけとなった米長期金利は25日に一時、3.03%まで上昇した。日本時間26日も時間外取引で上昇が続く。2月上旬に米長期金利が急上昇した際は、米国経済の成長鈍化などへの懸念で日米の株価が急落し、リスク回避の円買い・ドル売りにつながった。だが、過熱感が遠のいた今の株式相場は米長期金利が上昇しても大きく崩れず、為替相場を巡っても「2月と同じ展開にはならない」(FPG証券の深谷幸司社長)との見方が大勢だ。

このため、外為市場では安心して日米金利差の拡大を材料に円売り・ドル買いに動けるようになってきた。新たに円売り・ドル買いの持ち高を積むドル強気派が増え、相場の動きが速まっている。

ドル強気派の増加は、ユーロ圏で市場予想を下回る経済指標が目立ち始めたのも一因だ。欧州中央銀行(ECB)は金融政策の正常化を急がないとの観測が強まり、ユーロ売り・ドル買いが対円のドル買いに波及している面もある。米国では今年の利上げは4回との見通しが優勢な一方、ECBの出口の歩みはゆっくりとの見方が広がっているからだ。

ECBは26日に定例理事会の結果を発表し、ドラギ総裁が記者会見に臨む。ECBが景気に慎重な見方を強めれば「ドルへの人気に火が付くかもしれない」(三菱UFJ銀行の内田稔チーフアナリスト)との声もある。円が110円台に下落すれば、2月初め以来となる。米国の長期金利の上昇とECBによる緩和縮小のスローダウンの観測で、円相場の台替わりの現実味は増している。

【日経QUICKニュース(NQN) 蔭山道子】

 

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