株主優待を目的に投資する際に、最もコストパフォーマンス(コスパ)が高いとされるのは、優待の対象となる最低投資単元(通常は100株)を取得することである。保有株数に関係なく優待内容は一律であることが多いからだ。保有株数に応じて優待額も引き上げる企業もあるが、最低投資単元よりは効率の悪い銘柄が大多数を占めている。
例えば①100株保有で5000円分・500株保有で8000円分・1000株保有で1万円分の優待券②100株保有で5000円分・500株保有で25000円分・1000株保有で50000円分というケースがあるとする。
1株当たりの優待額を勘案すると、①のケースでは100株保有が最も効率が良く、②のケースでは保有株数が増えても100株=5000円分という構図に変わりない。
そのような状況のなかで、異彩を放つのがすかいらーく(3197)だ。
同社は6月末、12月末の株主に対して自社グループの店舗で使える食事券を提供している。従来は100株以上保有の株主に一律で年間6000円相当の食事券を贈呈していたが、2016年に保有株数別の優待制度を導入。2017年には優待額を一気に3倍に引き上げ、話題となった。
すかいらーくの優待額の内訳を整理すると…
100株以上で6000円(6月末: 3000円 12月末: 3000円)
300株以上で20000円 (6月末: 9000円 12月末:11000円)
500株以上で33000円 (6月末:15000円 12月末:18000円)
1000株以上で69000円(6月末:33000円 12月末:36000円)
このケースで1株当たり優待額をみると、1000株を保有するのが最も効率の良いことが分かる。
すかいらーくは、主力業態のガストを筆頭に、洋食、中華、和食、イタリアン、回転寿司などグループ合計で3000店舗もあり、使い勝手は良さそうだ。1回の食事単価を1000円とすれば、1000株保有(投資額は約150万円)で、年間69回も利用できることになる。
ただ、優待実施銘柄で注意すべきは優待内容の改悪だろう。
通常は業績の悪化した銘柄で多いのだが、すかいらーくに関しては別の見方もできる。
同社は2011年に投資会社ベインキャピタルの傘下に入り、経営改革を推進して2014年10月に東証1部へ再上場を果たした。その後、ベインは段階的に保有株を売却する手はずとなっていたことから、すかいらーくは大株主の株式売却の受け皿を個人投資家にするために株主優待を充実させたとみられる。
そのベインが昨秋に保有株をすべて売却し、目的を完遂したと会社側が判断すれば、優待額の減額に踏み切ることも考えられる。その点には注意したい。
【すかいらーくの株価推移】
※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。