東京市場で流通向けシステム大手のヴィンクス(3784)株が急伸している。14日は一時、制限値幅の上限(ストップ高水準)である前日比300円高の1489円まで買われた。8日の終値と比べると、株価は4営業日間で2倍になった。ドラッグストアが無人レジを積極導入との報道をきっかけに、ヴィンクスに対して将来的な需要拡大への投資家の期待を集めている。
日本経済新聞は9日付朝刊で「国内大手ドラッグストアが2025年までに全ての店舗で無人レジを導入する」と報じた。これを手掛かりに、2月にパナソニック(6752)と無人店舗向けレジの事業化で提携していたヴィンクス株への買いが集まった。
パナソニックも認めるヴィンクスの強みは、POS(販売時点情報管理)システムのドラッグストア向けの納入実績だ。会社側は「ドラッグストア大手のウエルシア(3141)など多くのチェーンに導入しており、薬局向けPOSシステムのシェアでは業界上位」(経営企画部の担当者)と話す。POSシステムで築いた販路が、無人レジにも応用できるとの期待が高まった。
他の無人レジ関連銘柄も、報道をきっかに株式市場で買われた。だが、9日以降の株価上昇率はアルファクス(3814)が46%高、オプトエレ(6664)が21%高で、ヴィンクスの上昇率は大きい。投資家の間では「ヴィンクスが無人レジの本命」(ちばぎんアセットマネジメントの加藤浩史運用部長)との評価があった。
売買代金は急増しており、14日は130億円を超え東証1部の20位に食い込んだ。「過熱感が出ている」(岡三証券の小川佳紀・日本株式戦略グループ長)との指摘もある。会社側は「無人レジ事業の売上高は現時点ではほとんどないが、2019年3月期以降の事業拡大を見込んでいる」と話す。投資家は将来性を買っている側面も強い。
【日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹】
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