森友スキャンダル、海外ヘッジファンドは日本株をどうする?

学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の書き換えを財務省が認めたのを受け、アベノミクスを推進してきた安倍晋三政権の基盤が揺らいでいる。日本の政治混乱を海外投資家はどう受け止めているのか。海外ヘッジファンドの動向に詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズのチーフストラテジスト、宮島秀直氏に聞いた。

米国では日本の政治混乱を受け、リターンリバーサルの両方で短期利益を上げようと売りを拡大している投機勢も見られるが、意外にも日本株の押し目買いに前向きな投資家も多く見られる。

13日の東京市場の寄り付きでも国内外の証券会社13社経由で外国人投資家の日本株買いがグロスで1278億円、ネットで569億円の買い越しとなっていた。このネット買い越し額は1月末の急落以降、単日では最高レベルだ。日本株に対するセンチメントの強さを感じる。

また、特にスマートβETFの注文が大半を占める米系2証券経由の買い越しが270億円を占めていたことから、同型のETFを愛用する年金、CTA、マクロ型ヘッジファンドが現在の地合いをむしろ日本株の買い場と考えていることを伺わせる。

他の、ヘッジファンド顧客からの注文が多い米系証券も100億円以上買い越していた。レバレッジ拡大に慎重になっているはずのロング/ショート型ヘッジファンドも日本株のバーゲンハントにはある程度前向きであることが示されている。

12日に面会したニューヨークのヘッジファンド幹部からは「安倍は麻生を絶対に辞めさせないと言っている。今の自民党政権で本当に猫の首に鈴を付けることのできる大物政治家はいるのか?トランプ、習近平と並ぶ盤石な政治基盤ならば、安倍は麻生を解任しない。北朝鮮リスクが高まっても、デタントの可能性が高まっても、安倍の支持率はまた上昇する。これまでの安倍政権の動揺の場面では、『混乱=バーゲンハント』の好機だった」などと強気の意見が出ていた。

世界的に政権に居座る国家元首、都合の悪い政敵を葬る元首さえいる状況だけに、ある種、政治の腐敗を是認せざるを得ないような諦観がファンドマネジャーの趨勢を占めているようにも感じた。

今回の米機関投資家訪問時に「前回の大蔵省スキャンダルでは結果的に橋本首相(当時)が辞任に追い込まれることに繋がった」と私の方から切り出してみた。

これに対して、米系のCTA幹部からは「過去の大蔵省スキャンダルに絡んで橋本首相が辞任に追い込まれ株価が急落した1998年は、大蔵省のスキャンダルの直後、橋本首相が体制を立て直す時間が無いまま総選挙になだれ込んだので自民党は大敗し、橋本は辞任に追い込まれた。だが、今回迫っているのは自民党の総裁選だ」、「当方の別の情報ソースに訊いても『安倍首相を追い込んでも石破氏では米国と強い協調関係で北朝鮮問題を交渉することは到底できない』と国民だって分かっていると言っていた」と強気のコメントが返ってきた。

もっとも、こうした発言の裏では、9月までに北朝鮮や尖閣諸島問題で危機感を高めるような事件が起きなかったり、財務省からさらに辞職者が出るような状況が続けば日本株のショートを拡大させる可能性が残されている事を感じる。

今回の森友スキャンダルの渦中の4月以降の相場を考えると、日本株は日経平均株価で21000円台ならば円高抵抗力のある割安銘柄(もしくは同銘柄を多く含むスマートβETF)の買い場となるだろう。スキャンダルが一服して安倍政権の支持率が30%を割るような悪化を見せず、安倍首相が石に噛り付いてでも政権維持に固執する姿勢を見せる限りは、昨年7月同様、バーゲンハントは奏功するだろう。

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