1年で最も株主優待に関心が集まる時期がやってきた。3月27日には3月末に期末・中間期末を迎える企業の優待の権利付き最終売買日を迎える。日本企業は3月期決算企業が多く、当然のことながら優待の対象となる銘柄も多い。お得感の強い優待を探そうと、個人投資家の物色が活発になりそうだ。
QUICK端末のナレッジ特設サイト「株主優待ウオッチ」では、優待品を金額換算した優待利回りをランキングで確認できる。3月が権利確定月の銘柄のうち、優待利回りが高いのは以下の通りだ。
※優待品の金額換算基準は以下の通り。上限額が設定されていない割引券、カレンダーやオリジナルグッズなどの非売品などは対象外。
・QUOカード、商品券、図書券などの金券は額面金額
・上限額が設定されている割引券は上限額 ・優待品の定価
・「〇〇円相当」と明示された金額
・企業への問い合わせで確認した金額
・優待品が米の場合、重さに応じた「お米券」の金額
・優待品が複数の場合、金額換算が可能なものの合計額
・優待品が選択できる場合、もっとも低い金額
1位のエスクリ(2196)は披露宴成約の場合に30万円分の「ウエディングアイテムチケット」と、少し汎用性には乏しい内容。ロイヤルホテル(9713)は宿泊や飲食の割引優待券、ゼビオホールディングス(8281)は買い物割引券がもらえるが、やはり利用する場面は限られるかもしれない。
優待利回りは配当利回りと並んで株主へのリターンの観点から重視される指標だが、優待によっては単純に利回りで算出できないながら、個人投資家にとってメリットの大きいものもある。何度でも利用できる株主カードなどがそうだ。
野村インベスター・リレーションズが実施した「株主優待人気ランキング」で総合トップに立ったイオン(8267)は、半期100万円までの買い物なら何度でも代金の一部がキャッシュバックされる株主カードがもらえる。100株以上保有なら3%がキャッシュバック。3000株以上保有なら7%も返金される。食品や生活用品を幅広く扱っている総合小売り大手だけに、使い勝手の良さを評価する声が多い。
オリックス(8591)は、100株以上保有すればグループが手掛けるサービスを割引価格で利用できる株主カードを贈っている。様々な事業を扱っている同社らしく、カードの用途はプロ野球観戦からレンタカー、水族館、ゴルフ場と幅広い。ほかに年1回、カタログギフトも贈呈している。
全株主を対象に専用のお得なウェブサイトを用意しているのはダイドーグループホールディングス(2590)だ。同サイトではサプリメントも含めたグループ企業の商品を最大3割引きで提供している。100株以上保有する株主に対し年2回、贈っている3000円相当の自社グループ商品も人気だ。
上記に挙げたような利用頻度を限定せずに使えば使うほど得するタイプの優待は、個人投資家からの人気が高い。企業にとっても自社の商品・サービスをより多く使ってもらえるため、双方に利点があると言えそうだ。
【QUICKナレッジコンテンツグループ・内山佑輔】