米連邦準備理事会(FRB)が7日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、米経済について「全地区で緩やかに拡大した」と総括した。市場が注目する物価については「全地区で上昇した」と前回から判断を引き上げた。また、賃金の伸びが加速しており、労働市場が引き締まっているとの認識も示した。
2月の株式相場急変を招いた米長期金利の上昇は、2月2日発表の1月の米雇用統計における平均賃金上昇率加速がきっかけだった。1月の1時間当たり平均賃金の前年同月比は2.9%増と、2009年6月以来の大幅な伸びとなった。
これが市場のインフレ期待を高め、FRBが利上げペースを加速するとの見方から長期金利が上昇した。
米BEI(ブレーク・イーブン・インフレ率、債券市場が織り込む期待インフレ率)は依然として高水準を維持している。3月9日発表の2月の米雇用統計で、再び平均賃金上昇率の加速が確認されれば、10年物米国債利回りでみた米長期金利は再び3%に接近し、相場の波乱要因となる可能性もありそうだ。
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