QUICKがまとめた2日時点のFX大手8社の建玉状況、「QUICK店頭FX建玉統計」で円に対するドルの買い建玉は前の週に比べ4.8%増の53万3573(単位:1万通貨)だった。増加は3週ぶり。一方でドル売り建玉は同12.3%減の10万8279(同)だった。この週は後半にドル円が再び1ドル=105円台に突入。日本の個人投資家は改めてドルの押し目買いを入れたようだ。
ドル買い建玉の比率は83%に達し2012年9月末以来およそ5年5か月ぶりの高水準となった。ドル高への反転期待が根強いと思われるが、市場の一部では円高への警戒が根強い。要因の1つに上げられるのが日銀の政策スタンスだ。2日に黒田東彦総裁が再任にあたって国会で所信聴取を受けた際、緩和政策の出口に関する具体的な時期に言及した。
シティグループ証券の高島修氏は「黒田総裁は出口論を2019年度まで先送りするという主旨の発言をしてしまった。総裁としては恐らく今年度内の出口論を排除し、市場の期待を退けたいという意図だったのかもしれないが、それとは裏腹に、市場にとってこれは『出口論という円買いのネタをぶら下げたまま1年間、走り続けますよ』と宣言したに等しい。こうなってしまうと、北朝鮮問題が勃発するなどして、金融経済面の前提条件が抜本的に覆るようなサプライズが発生しない限り、ズルズルと円買い基調が続いてしまう」としていた。
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