27日の東京株式市場で、アルプス電気(6770)株は大幅高になり一時、前日比199円(7.0%)高の3040円まで上昇した。きっかけは新型「iPhone」投入やアルパイン(6816)との経営統合の前倒し報道という2つの好材料が重なったことだ。
米アップルが年内にも約6.5インチの大画面スマートフォン(スマホ)「iPhone」の新機種を発売する計画をしていると伝わった。「X(テン)」の後継機や廉価版を含む3機種を売り出すという。市場では「カメラの手ぶれ防止部品の採用を期待する買いが入った」(日本アジア証券の清水三津雄エクイティ・ストラテジスト)。
さらにアルパインとの経営統合時期を「2019年4月から同1月に早める」とした27日付の日本経済新聞朝刊の報道も材料視された。モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤昌司株式アナリストはリポートで事業持ち株会社採用により「経営統合の効果が出やすい」と評価した。アルパインのソフトウエア技術者をアルプスの電子部品開発に活用できることなどを挙げた。
ただ、継続的に株価が強含むかには異論もある。国内証券の担当アナリストは「米アップルは本体価格から逆算して部品の値段を決めるため、出荷数量が伸びても採算が悪化しかねない」と警戒する。
統合時期の前倒しについても「3カ月早まったぐらいでは業績への大きな影響はない」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成上席執行役員)との声が聞かれる。さらに物言う株主として知られる香港のファンド、オアシス・マネジメント・カンパニーが両社の統合に異議を唱える状況も変わっていない。
アルプスの予想PER(株価収益率)は12倍弱。同業のミネベア(6479)は17倍近く、21倍台の京セラ(6971)や日電産(6594)の約40倍に比べると割安だ。ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は「アップル動向に影響しやすい関連銘柄としてのリスクや、統合の先行き不透明感を嫌気した売りが昨年11月下旬以降続いている」と話す。
きょうの高値ですら、2017年11月22日に付けた昨年来高値(3845円)を2割下回る水準。ここからさらに上昇するには車載分野の事業などで子会社アルパインとの統合後、「1+1」以上のメリットを示せるかにかかっている。
【日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹】
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