2月に入って株式相場が大荒れとなるなか、日経平均株価の値動きの反対方向に2倍動くレバレッジ型インバースETFの純資産が大きく減っている。
日経ダブ(1357)、225Dベア(1366)、日経ベア2(1360)、楽天Dベア(1459)の4つのETFの純資産額合計は、日経平均が4.72%安と急落した2月6日に2299億円まで増加したが、その後は減少傾向だ。19日時点で1657億円まで減り、今月のピークから8営業日で27%減少した。
【日経平均株価レバレッジ型インバースETFの純資産の推移】
日経平均が14日に21000円割れとなり、年初来安値を更新する過程でレバレッジ型インバースETFの基準価額が上昇したことから、下げ相場に備えてインバースETFを買っていた個人投資家らが利食いを入れた可能性が高そう。
ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「6日に日経平均が200日線近辺まで下げたことで個人投資家が利食いを入れたとみられる。その後、日経平均はさらに下げて14日に21000円を割り込んだが、当面の下値メドを付けたということでさらに利食いが出たのではないか」と指摘していた。
日経平均が今年最大の下げ率(4.72%安)を記録した2月6日、日経ダブは9.71%高となってヘッジ機能を果たしていた。
しかし昨年末を基準に年初来の騰落率をみると、19日時点で日経平均が2.70%下げたのに対して、インバース型レバレッジETFは概ね3.20~3.75%のプラスにとどまっていた。中期的には日経平均の2倍の下げに見合ったプラスリターンを得られていない状況である。
井出氏は「レバレッジ型ETFの特性として、上げ下げが繰り返される相場では純資産の調整による売買の影響で思ったような収益をあげられない恐れがある。最近はVIX指数のショート戦略のETFで大きな損失が出たこともあり、組成商品の特性をきちんと理解しなければならない」と注意喚起する。
個人投資家の逆張り戦略でインバース型のETFの純資産・口数は共に減少傾向だが、レバレッジ型ETFの特性を理解し、短期のヘッジ、日計りなどでうまく活用したい。
※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。