19日の東京株式市場で日経平均株価は節目の2万2000円を2週ぶりに回復した。上昇の一因は、一部の海外短期筋による株価指数先物への買い戻しとみられる。日経平均が1071円急落した6日以降に先物売りを膨らませた投資家の「平均売りコスト」を、足元の相場が明確に上回ったことが買い戻しを誘発したようだ。
19日は中国(上海・深セン)や香港などアジア主要市場が休場のうえ、米国も休み。結果、目立ったのが「欧州の短期筋からの日経平均先物への買い」(外資系証券トレーダー)だ。その買い手の過去の売買パターンを勘案すると、新規の買い注文ではなく買い戻しの可能性が高いという。
1月末からの相場調整トレンドに乗じる形で指数先物に持ち高を売り(ショート)に傾けていた投資家の懐具合は悪化している。日経平均が取引時間中に下げ幅を1603円(7.1%)まで広げた6日、日経平均先物3月物の売買高加重平均価格(VWAP)は2万1714円だった。日経平均先物は前週末16日にこの水準を上回った。
VWAPは先物売買の平均価格に相当し、売り方にとっては平均売りコストを意味する。売り持ち高を膨らませている場合、相場水準がVWAPを上回ると評価損が出て、損失覚悟の買い戻しを誘いやすい。
6日だけではない。7日のVWAPは2万1880円、8日は2万1818円だった。日経平均先物はこれらの水準を19日午前に明確に突破した。買い戻しの2段、3段ロケットが点火し、この日の相場はほぼ高値引けとなった。TOPIX先物にも同じことが当てはまりそうだ。
2月第1週(5~9日)の投資部門別売買動向によると海外投資家は日経平均先物とTOPIX先物の合計で約1兆円売り越した。大阪取引所が毎営業日公表している証券会社別の先物手口ではクレディ・スイス証券が連日まとまった額を売り越していた。
もっとも、買い戻しのペースは目先、鈍る公算が大きい。日経平均が急落する前の5日のVWAPは2万2871円、2日以前は2万3000円台と、平均の売りコストはかなり高い。売り方にまだ余裕があり、急いで買い戻す必要がないからだ。
「企業業績などからみて2万1000円台は明らかに割安だった」(野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジスト)ことも手伝って勢いがついた相場上昇。需給面からは、過去数日のような大幅高が続く可能性はやや低下している。
【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】
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