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日銀副総裁候補の若田部氏、「量」から「金利」へのシフトに批判も

記事公開日 2018/2/16 17:47 最終更新日 2018/2/16 17:47 若田部早大教授 黒田総裁 NQNセレクト

政府は16日午前、日銀の黒田東彦総裁の再任に加え、早稲田大学の若田部昌澄教授と日銀の雨宮正佳理事を副総裁に充てる人事案を衆参両院にそれぞれ提示した。若田部氏は積極的な金融緩和を訴える「リフレ派」の経済学者で、安倍政権に近いとされる。一方、雨宮氏は現行の異次元緩和政策を策定してきた「日銀のエース中のエース」。緩和の副作用が強まる中、実質的な政策のかじ取りを担う正副総裁からなる新執行部が金融正常化への道筋を描けるかに注目が集まる。

日銀以外からの起用となる若田部氏はリフレ派の論客として知られる経済学者だ。安倍首相の経済政策上のブレーンである浜田宏一内閣官房参与との共著もあり、政権側とのつながりも深い。1965年生まれという若さながら副総裁候補に抜てきされた。

専門は経済学史だが、2002年に当時学習院大学教授だった岩田規久男副総裁が立ち上げ、原田泰審議委員も所属した「昭和恐慌研究会」に参加。1930年代のデフレ不況を研究した縁から、リフレ派の代表格の1人として存在感を高めた。

あるエコノミストは「大学の授業では遅刻は厳禁で、開始時間と同時にドアを閉め切ってしまう」とのエピソードで、若田部氏のきまじめで厳格な一面を紹介する。

「アベノミクスの最前席にいた日銀が後部座席に移ってしまった」。日銀が長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入し、政策の主軸を資金供給の「量」から「金利」に移した2016年9月の枠組み変更について、日経QUICKニュースの取材に対し、こう批判した。

最近では、昨年12月27日の日本経済新聞電子版のインタビューで「19年10月に控える消費増税の負の影響を吸収し、かつ物価が2%へ上がっていくほどの強力な緩和が必要だ」と主張した。

ある日銀幹部は「安倍政権はわずかでもデフレ脱却の芽があるならば、徹底的に緩和路線を突き進むはずだ」と警戒。若田部氏が政権側の意向をくんで緩和強化を唱える可能性は否定できない。

一方の雨宮氏は1979年に日銀に入行した。早くから才能を認められ、金融政策の立案を担う企画局長といった日銀の中枢部署の要職を経験。2001年の速水優総裁時代の量的緩和や白川方明総裁の包括緩和の導入など日銀の主要な金融政策の策定に関与してきた。

白川総裁時の12年にいったん企画担当の理事から大阪支店長に転じていたが、黒田総裁就任を受けて翌年に再び本店に呼び戻され、同担当の理事に復帰。黒田総裁下での異次元緩和も一貫して考案してきた。

金融政策の主軸を資金供給の「量」から「金利」に移した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入時には「量」の重要性にこだわる岩田副総裁などの行内のリフレ派を説得した交渉力もある。

金融緩和の長期化で、市場機能の低下に加え、金融機関の収益悪化が一段と深刻化している。副総裁を経験した日本経済研究センターの岩田一政理事長は「中銀マンには金融政策を正常化したいという潜在的な思いが強い」と指摘する。16年1月にマイナス金利の導入まで提案した雨宮氏も異例の緩和に対する問題意識が強いのは間違いない。

黒田総裁が過度の緩和による副作用を懸念するなど、日銀内では水面下で異次元緩和の出口を模索する動きが始まっているようにもみえる。雨宮氏にとっては出口戦略をいかに描くかが最大の課題となるが、若田部氏などとの意見集約が困難になれば日本の金融政策が混迷する懸念も否めない。

【日経QUICKニュース(NQN) 後藤宏光】

※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。


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