VIXショート戦略の投資家に損失? ボラティリティの調整どこまで

7日の米国市場でNYダウは小幅に反落し、19.42ドル(0.07%)安の24893.35ドルで終えた。米議会上院の指導部がつなぎ予算の延長で合意したことが伝わり、恐怖指数のVIXが低下したが、米長期金利が上昇する中で引けにかけては売りが優勢となった。

上昇寄与度トップは2日連続でボーイング。2.11%高で堅調に終えて49ドルほどダウを下支えした。上昇銘柄数は13にとどまり、値下がり銘柄数(17)を下回った。半面、下落寄与度トップはアップルで24ドルほどの押し下げ要因となった。

VIXは7.50%安の27.73で大幅続落した。6日に50.30まで上昇して2015年8月26日以来、2年5カ月ぶりの高水準に達した後はいったん上昇が一服しているが、それでも歴史的には高止まりしている。VIXショート型のETF(上場投資信託)であるベロシティシェアーズ・インバースVIX短期ETNは15.23%安の6.23ドルで大幅に続落。6日に92.57%安で急落したことで、VIXショート戦略の投資家が大きな損を抱えているのではないかとの思惑も相場の戻りを鈍くしている。

VIXショートのポジションを組成する上で欠かせない、VIX先物を運営するCBOEグローバル・マーケッツは2.03%安の114.565ドルで終えて4日続落となった。JPモルガンが7日付のリポートで、投資判断をオーバーウエイトからニュートラル、目標株価を131から110ドルに引き下げたことが嫌気された。リポートでは、VIXショート関連のETNの組成、CBOEが手掛けるVIX先物、VIXオプションの取引量に影響が及ぶ可能性があると指摘された。いわゆる適温相場のもと、低ボラティリティ(株価変動率)の恩恵を受けたVIXショート戦略だったが、先物の取引量の減少など各種の影響が予想される。米長期金利の上昇がきっかけとなった今回の株安・ボラ上昇の調整が長引くのかどうか、まだ慎重に見極めたいところだ。

きょうは北朝鮮で朝鮮人民軍創建日となる。従来は4月だったが、韓国で9日から開幕する平昌冬季五輪前日に前倒しされたことで国際社会に対する挑発行為が行われるのではないかと警戒されている。各報道によれば、衛星写真から大規模な軍事パレードの準備している様子がうかがえたということから、金正恩・労働党委員長が妹を平昌五輪に派遣する方針と伝わっているものの、昨年4月以来10カ月ぶりに軍事パレードを強行するとみられている。

NHKによれば、トランプ米大統領は今年、ワシントンで軍事パレードを行う方針を明らかにしたといい、北朝鮮をけん制する狙いがあるとみられるものの、北の軍事パレード自体をレッドラインとみなさなければ過度に警戒する必要はなさそう。平昌五輪の閉会式にはトランプ氏の長女で、ファースト・ドーターの異名を持つイバンカ・トランプ大統領補佐官が出席すると伝わっているだけに、冬季五輪開催中はひとまず軍事的な衝突が起こる可能性は低い。

ボラの高止まりを警戒しつつ、きょうはソフトバンクG(9984)が強含めば相場の下支えになりそうだ。7日の米国市場でピンクシート(SFTBY)が大幅高。4.40%高の40.40ドルで終え、1ドル=109.60円で試算した円換算値は8855円で前日の東証終値を1.92%上回った。夜間PTS(9984/JNX)では1.96%高の8859円で終えた。ピンクシートやPTS並みなら日経平均株価を20円前後押し上げる計算だ。

同社は前日の大引け後に2017年4~12月期の決算を発表。純利益は前年同期比34%増の1兆2027億円となり、2018年3月期のアナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスの純利益予想(4538億円)を大幅に上回った。決算にあわせ、携帯子会社の上場方針も正式に示した。決算を受けて各社のリポートでは「決算印象は中立だが、国内通信上場準備発表をポジティブと見る」、「投資ファンドによるテクノロジー企業投資が加速」などと概ね高評価が出ていた。

また決算とは別に、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版が7日に「ソフトバンクGがスイスの保険大手スイス・リーと買収交渉している」と報じたことも注目される。記事によれば、ソフトバンクGはスイス・リーの株式の3分の1をプレミアムを付けて買収したい意向とのこと。スイス・リーの時価総額は約330億ドルと大きいが、ソフトバンクG自身が買うのか、サウジなどと共同で設立したソフトバンク・ビジョン・ファンドからの出資となるのかは不透明という。

報道を受け、7日の米国市場でスイス・リーのピンクシート(SSREY)は9.80%高の26.00ドルで終え、ソフトバンクGによる買収交渉を期待する動きとなったが、ソフトバンクGのピンクシートが伸び悩むこともなかった。合併・買収(M&A)のアービトラージで買収企業を売り、被買収企業を買うような展開とならなければ、ソフトバンクGの巨額買収による時価総額経営が市場のセンチメントを明るくする可能性もありそうだ。

(QUICKデリバティブズコメント)

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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