日銀はきょう23日昼ごろに、金融政策決定会合の結果を公表する。市場は金融政策の現状維持を見込むが、ステルス・テーパリングをはやして足もとで円高・ドル安基調が続く。会合後の記者会見で黒田東彦総裁によるハト派的な発言が待たれそうだ。
前回は11時46分に結果が発表されたため、東証の昼休み時間中に日経平均先物が思惑的な売買で動く可能性もある。3回連続で現行政策に反対票を投じている片岡剛士委員は、前回は「10年以上の国債金利を幅広く引き下げるよう、長期国債の買い入れを行うことが適当」とし、前々回会合で「15年物国債金利が0.2%未満で推移するよう、長期国債の買入を行うことが適当」としていた見解を微妙に修正していた。今回はどのような理由で反対票を投じるのか気になるところ。
日銀会合の注目点について、シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジストは22日付リポートで「黒田総裁がハト派姿勢を示せば、一時的には足もとの円高を緩めることになろう。だが、抜本的な解決策にはなるまい」と指摘した。
高島氏は「運用環境が厳しい中、昨年は欧州中央銀行(ECB)の緩和減額に伴うユーロ高で収益を上げたヘッジファンドなど海外短期筋は『夢をもう一度』と、今年は『日銀の政策調整に伴う円高』に思いを馳せている。一度、火がついた市場の思惑は、黒田総裁がハト派姿勢を示しても簡単には消えることはあるまい」と指摘していた。
その上で、日銀が円高に終止符を打ちたいなら、「金融政策以外でバックストップを準備すればいい。例えば、日中平和友好条約40周年の今年、最近の関係改善もあり、かつて民主党政権下で検討された日本政府による中国国債投資を実行に移すことなどはどうだろうか」と大胆な方策を披露。ドルが全面安の状況下、黒田総裁が円高リスクをどう払拭させるかが注目されそうだ。
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