いきなり700円高で始まった2018年の日経平均株価は、急伸翌日である5日も続伸した。海外の投資信託のなかでも市場平均を上回る運用成績を目指す「アクティブ型」のファンドが、日本株にまとまった買いを入れているとの指摘がある。彼らの上値追いにトレンド重視の商品投資顧問(CTA)の買いが追随し、大幅高の反動で出た短期的な利益確定の売りを吸収したようだ。
5日の日経平均は前日比208円高の2万3714円と続伸し92年1月6日以来、26年ぶりの高値を付けた。年初から2日間合計の上げ幅は949円と1000円に迫った。
4日の意外高を巡っては、株価指数先物への大口の買い戻しがけん引したとの見方があった。米シティグループが日経平均先物を2400枚、TOPIX先物を1600枚、日中取引でそれぞれ買い越していた。「シティがこれほど買い越すのは珍しい」と話すある外資系証券のトレーダーは「年明け後の相場下落を想定していた売り持ち高を慌てて買い戻した投資家がいるのではないか」と推測する。
損失覚悟のショートカバー(買い戻し)が4日の株高を加速したとすると、翌日は行き過ぎた上昇の反動で利益確定の売りが出るのは自然だ。それでも5日の日経平均が続伸したのは「年明けで期初の新規資金が集まった欧米の機関投資家が日本株にも買いを入れているため」(国内運用会社の売買担当者)という。
そのヒントとなるのが、連日で取引終了間際に入った買いだ。4日は終了までの1分間で東証1部の終日の売買代金である3兆2700億円の1割を超える4000億円の取引が成立した。5日も同じ時間帯に終日の3兆100億円の約13%にあたる3800億円の取引が成立した。
4日は取引終了後の15時35分に立会外取引で、花王やアサヒ、ホンダ、ブリヂストンといった日本を代表するような26銘柄に計474億円の買いも入った。取引終了間際やその後の立会外での買いは、海外投信からとの見方が有力だ。
海外勢は世界的な景気拡大を手掛かりに、景気変動に業績が連動しやすい日本の景気敏感株を買っているとみられる。5日の東京市場では、デンソー株が上場来高値を更新して初めての7000円台に乗せ、時価総額が初めて6兆円を上回ったファナック株も上場来高値を付けた。ソニーやパナソニックも上昇が目立った。
株高に弾みを付けているのが、ヘッジファンドの一種であるCTAだ。野村証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは「日経平均が2万3000円を超えたことで上昇トレンドが続くとみたCTAは当面、買い持ち高を増やすだろう」と読む。CTAが重視するのは相場の方向性で「上がるから買う、買うから上がる」という循環になりやすい。値幅の大きさから相場の流れに逆らう逆張りで信用取引の売りを出す投資家は、劣勢に立たされる可能性がある。
【日経QUICKニュース(NQN) 張間正義】
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