2018年も仮想通貨バブルが続きそうだ。これまでは「仮想通貨=ビットコイン」の色彩が強かったが、足元ではリップル(XRP)の存在感が強まっている。リップルは昨年初に1XRP=0.006ドルだったが、じりじりと上昇して12月初めには1XRP=0.25ドルに上昇。それが、12月22日に初めて1ドルの壁を突破すると、年明けに一気に4ドル近くまで急騰した。
※出所:コインマーケットキャップのホームページより引用
リップルは既存の金融システムと新しい金融システムの中間に位置し、ビットコインに比べ決済にかかる時間が約1200分の1、取引コストも約1万8800分の1に抑えられるなど、ライバルの仮想通貨より安定性とスピード、セキュリティに優れ、既存の金融機関の扱いにも適しているとみられており期待する向きが多いという。一部報道で、米仮想通貨取引所の一角であるコインベースがXRPを新たに仮想通貨の取扱に加えない方針だと伝わり、米国時間4日夕方に1XRP=3.1ドル台まで一時急落する場面もみられた。だが、その後は1XRP=3.4ドル台まで値を戻しており影響は限定的ではなかろうか。
このリップルと関係性が深い銘柄がSBIホールディングス(8473)。XRPの発行体は米リップル社で、SBIはそのリップル社に約1割出資し、共同出資するSBIリップルアジアというジョイントベンチャーも傘下に持つ。リップル社が現在発行するXRPの総数は1000億だが、そのうちの約4割が市場に流通し、6割がリップル社が保有するとされる。SBIは直接XRPを保有しないものの、リップル社への出資を通じて間接的に60億XRPを保有することになる。
仮に1XRP=3ドル、1ドル=112円と仮定すると、SBIが間接的に保有する60億XRPの現在価値は約2兆円になると試算される。足元の株価急騰でSBIの時価総額は6000億円までに膨らんだが、間接保有するXRPの価値2兆円を勘案すると割安という皮算用になろう。乱高下する仮想通貨の価値が、どの程度企業価値や決算に反映されるのかなど不透明部分が多いため過信は禁物ながら、ネット証券最大手のSBIはXRPの価格変動に大きく左右される銘柄なったといえよう。
2017年は仮想通貨の高騰で多数の億万長者が生まれたもようだが、今春の確定申告では国税当局が手ぐすねを引いて待ち構えているという。値動きが激しく、税制面でも問題を抱える仮想通貨を直接売買することに二の足を踏む投資家にとって、SBIはその代替投資先になりうるかもしれない。
このSBIホールディングスと関係性が深いのがソルクシーズ(4284)。ソルクシーズはシステムインテグレーターの草分け的存在として金融向け(証券・保険・銀行・クレジット)や通信向け、基盤系、組込系などの専門に特化しているが、直近はIoTサービスやブロックチェーンなどFinTechを活用したビジネス拡大に注力。昨年10月には、SBIホールディングス子会社で仮想通貨の交換および取引サービスを提供するSBIバーチャル・カレンシーズと仮想通貨の交換および取引サービスにおけるシステム構築を支援することで合意している。
そのため「仮想通貨XRPの高騰→SBIが間接保有するXRPの含み益増大期待で株価上昇→SBIと関係性が深いソルクシーズにも短期資金流入」という構図が続く可能性もありそうだ。
【QUICKエクイティコメント・本吉 亮】
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