パソナG(2168)株16%高 6~11月黒字確保もくすぶる懸念

21日の東京株式市場で、パソナグループ(2168)は一時、前日比325円(16.3%)高い2318円まで上昇した。12月1日以来、20日ぶりに年初来高値を更新した。2017年6~11月期の黒字転換を好感した買いが入ったが、一方で先行きには子会社の業績下振れリスクが残る。

20日の取引終了後に発表した17年6~11月期の連結最終損益が4億円の黒字(前年同期は8億円の赤字)になったことが大きい。5億円の赤字予想から一転、黒字転換したことを好感した買いが入った。企業から請け負う事務作業で、IT(情報技術)を使い効率化に取り組んだことで採算性が改善。顧客管理や給与計算などの業務の効率化で人件費負担が減った。17年5月期に1億2900万円の連結最終赤字に転落しており、復調の兆しが見えたとの評価が高まった。

パソナGは「労働契約法や派遣法など法制面の影響が不透明である」ことなどを理由に挙げ、18年5月通期の最終損益は10億円の黒字と据え置いた。ただ、最終黒字を確保できるかは依然として疑問が残る。子会社で福利厚生代行のベネフィット・ワン(2部、2412)の業績見通しに未達リスクがあるからだ。アナリスト予想の平均にあたるQUICKコンセンサス(11月30日時点、3社)の純利益見通しは44億円と、会社側の見通し(46億円)を下回る。

ベネ・ワンを担当するいちよし経済研究所の永田昌寿主任研究員も会社計画の未達を警戒する。永田氏は18年3月期の純利益を会社側より4億円少ない42億円と見込む。未達の理由に挙げるのは、ベネ・ワンの福利厚生サービスをソフトバンクグループ(9984)の携帯電話利用者に有料で提供するサービスの会員数が曲がり角を迎えていることだ。

きっかけは16年の総務省のガイドラインにより、スマートフォン(スマホ)の「実質0円」販売が事実上禁止されたことだ。0円販売時代はセット商品として加入する形式で利用者を増やしていたが、0円販売禁止後はサービスの説明が必要となる。面倒と考えた販売店側が提案をしなくなりやすい。

会社側はソフトバンクユーザー向けなど「パーソナル事業」の通期売り上げ見通しを46億円と見込むが、いちよしの永田氏は40億円にとどまると読む。計画から下振れると純利益を押し下げる。ソフトバンク向けなどの有料サービスにあたる既存の福利厚生サービスの延長上の事業のため、利益率の高い携帯利用者向け事業の成長鈍化はベネ・ワン業績に重荷になりそうだ。

ベネ・ワンを抱えるパソナの連結PER(株価収益率)は82倍前後。人材派遣で同業のリクルートホールディングス(6098)の38倍やパーソルホールディングス(2181)の29倍を大きく上回る。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は「足元の株価は10億円の最終黒字見通しは必達目標で、業績の上方修正がなければ積極的に買い進めづらい」と話す。上期の上方修正の勢いを持続できるか。買い進めるにはパソナG本体だけでなく、ベネ・ワンの動向を注視する必要がありそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 高橋徹〕

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