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好調IPO 第一人者が分析した銘柄変化とは? 

記事公開日 2017/12/13 11:19 最終更新日 2017/12/13 11:29 QUICK Market Eyes

宅配大手の佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(SGHD、9143)が13日、東証に新規上場した。初値は1900円で、売り出し価格(公開価格)の1620円を17%上回る順調な滑り出しとなった。今年の株式市場では日経平均株価がバブル経済崩壊後の高値を付けたこともあり、大型株が話題になることが多かったが、新規株式公開(IPO)も絶好調だった。IPOアナリストの第一人者として知られる、いちよし証券の宇田川克己・投資情報部銘柄情報課長に聞くと「地合いと銘柄の相乗効果」というキーワードが返ってきた。IPO銘柄の傾向にも、ちょっとした変化が起きていたという。

 

まずは需給面をみると、今年は銘柄の「小粒化」が一段と進んだことが挙げられる。公募・売り出し(公開)の際に市場から吸収する資金(公開価格×公開株数)の金額は2017年の平均で1銘柄あたり62億円。ここ数年で最低だった。日本郵政(6178)、ゆうちょ(7182)、かんぽ(7181)と郵政3社のIPOがあった2015年と比べると3分の1にも満たない。最も大型のIPOになったSGHD(9143)でも1100億円程度にとどまる。従って、銘柄数は89銘柄でも全体として需給は引き締まった状態だった。

結果として、公開価格に対する初値の騰落率が跳ね上がった。初値は公開価格に対して平均的に2倍を超えた。54銘柄しか上場しなかった13年と同等の水準に上昇しており、IPO銘柄に対する、逼迫(ひっぱく)感を反映している。初値が高い水準で付くと、IPOに好んで投資する個人投資家らの資金も回転が効き始める。11月29日に上場したトレードワークス(3397)は資金吸収額が7億円強という典型的な小粒銘柄だ。同社株の次に上場を予定していたアトリエはるか(上場は中止した)まで、1週間強の間隔が空くことから資金の回転を続けたい個人の資金が集中。結局、上場から3日目になって、ようやく初値を付けた。「今年を象徴する動きだ」と宇田川氏は話す。

<2017年後半以降、IPOインデックスは大きく上昇>

 

●姿消すバイオ、代わりにAI台頭?

IPO銘柄を業種でみると「バイオ関連銘柄が1つもなかったのも今年の特徴」と宇田川氏は指摘する。ゲーム関連も少なかった。2000年に国内の新興企業向け株式市場が複数体制になって以来、上場銘柄数が増える時期には必ず創薬ベンチャーなどのバイオ関連や、ゲーム制作などのコンテンツ関連が上場したが、今年は目立たなかった。代わりに台頭したのは人工知能(AI)関連銘柄ではないかと宇田川氏はみる。

たとえば9月22日に上場したAI向けアルゴリズム開発のPKSHA(パークシャテクノロジー、3993)は公開価格の2.3倍である5480円の初値を付けた後、10月18日には1万4500円まで上昇。現在も初値を大幅に上回る水準で推移する。世界で初めてAI搭載レジスターを製品化したサインポスト(3996)も11月21日の上場初日には買い気配のまま値を付けず、公開価格の3.8倍である8530円の初値を付けた。AI関連銘柄への期待感が顕著にうかがえる。

 

<いちよし証券の宇田川克己・投資情報部銘柄情報課長>

 

創薬ベンチャー銘柄の一角には上場から10年が経過して、いまだに事業が実を結ばない会社もある。そうした中で「AIは自動運転にとどまらず幅広い応用範囲を連想させるうえ、加速度的な普及の一歩手前まで来ているという見方は浸透していて、買い安心感があるのではないか」と宇田川氏は分析する。新規上場会社の説明会に出向いても、投資家の関心を誘おうと「弊社は隠れたAI関連企業ですよ、と来場者に訴える経営陣が増えている印象」(宇田川氏)という。

●来年の好地合いまで連想?

もちろん日経平均がバブル後高値を更新するなど、株式流通市場の活況は最強の追い風だ。中小型株の株価指数では日経ジャスダック平均株価も、同指数が日経店頭平均と呼ばれた1990年以来の高値。やはりバブル後の高値で推移している。しかも昨年末に比べて62%上昇と大幅高だ。初値を付けた後も株価が堅調に推移すれば、IPOで買った個人の資金は一段と回転が効きやすくなる。株高はIPOでも既存の上場銘柄でも資金調達を容易にする。株高を起点に、銘柄の小粒化、業種の変化など銘柄や地合いが微妙に絡み合って、IPO銘柄の好成績につながっている。

実は年初時点で大型IPOとして予想されていたフリーマーケットアプリのメルカリ(東京・港)や、東京地下鉄(東京・台東)が上場しなかったことが、需給の引き締まりを側面支援した。とくにメルカリでは本来禁止されている現金や電子マネーなどの出品が相次いだ経緯があり、対策や信頼回復に時間がかかる可能性から上場観測が後退。東京地下鉄も東京都交通局との関係などから、ただちに株式公開というのは予想しづらい情勢。需給の引き締まった状況は当面続くとの見方に傾きやすい。来年2~3月のIPOラッシュも、地合いの良さで乗り切る展開を連想させる状況といえそうだ

【QUICKエクイティコメント・山本学】

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。


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