株式相場に最も影響した2017年のできごとは――。QUICKエクイティコメント、QUICKデリバティブズコメントのライター陣が選んだ今年のキーワードは「電気自動車」と「ESG投資」だった。日本の時価総額首位は自動車メーカーのトヨタ(7203)だが、欧州を中心にガソリン車を減らす動きが広がった。背景にあるのは環境意識の高まりで、ESG投資はこれに対応した概念でもある。さまざまなキーワードが浮上した、今年の株式相場を振り返ってみよう。
<株式相場インパクト番付2017>
QUICKデリバティブズコメント・QUICKエクイティコメント ライターズ選
★西★ ★東★
ESG投資 横綱 電気自動車(EV)
ビットコイン 大関 データ不正問題
張出大関 北朝鮮
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ライター全員からキーワードを選んだ理由も聞いた。「電気自動車」については「英仏や中国が化石燃料車の制限の方針を打ち出したことや、米テスラの新モデル発表などで一気に電気自動車がフォーカスされた」(エクイティコメント担当)や、「テスラの時価総額がGMを上回り、量産EVのモデル3に関心が高まる状況に」(デリバティブズコメント担当)といったことから、今年を象徴する材料という印象につながった。
一方で、直接的に市場や相場に関連するできごととして挙がったのが「ESG投資」だった。ESG投資とは環境や社会的責任、企業統治を重視する企業を選ぶ投資手法だ。「株式の需給に影響を与え始めた元年」(別のデリバティブズコメント担当)という指摘があった。「ただESGで選んだはずの神戸鋼が実は・・・という事態も起きた」(別のエクイティコメント担当者)と、やはり今年後半に目立った検査データ不正問題と表裏であると複数のライターが指摘した。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を導入したのに加え、上場企業の4社に1社が「過去最高益」を更新する見通しの中で、新たな銘柄選別の手法としてESG投資が浮上した面もある。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)などの制度化に積極的な安倍晋三政権が10月の総選挙で大勝し、改めて日本企業の企業統治が進展するという海外投資家の見方も、日本株の追い風になったといった指摘もあった。
敢闘賞には「FAANG」を選んだ。フェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)という米株高のけん引役になった5銘柄の頭文字だ。株式相場の概況を書く際には以前から、しばしば「前日の米株高を受けて」などと主要な株価指数の動きを示すことは多い。ただ米国の個別銘柄が、これほど注目されたのは珍しいのではないか。
残念賞は「フリン騒動」。政治家など不倫問題が野党再編のきっかけになるなど、国会や地方議会含め、相次いで不倫が浮上しては騒ぎになった。年末にかけては海の向こうから、米大統領補佐官のフリン氏が解任されるというニュースが伝わるという展開。いずれのケースもどういう結末を迎えるのか依然として不透明だが、騒動になったことは事実だろう。
読者のみなさまは、どのような1年だったでしょうか。そして、2018年が良い1年になりますように。
【QUICKエクイティコメント・山本学】
※QUICKのエクイティコメントおよびデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKでは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するエクイティコメント、トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えするデリバティブズコメントをオプションサービスでそれぞれ提供しています。