円相場は9月下旬から1㌦=110~114円のレンジで推移している。しかし、足元で公表が相次ぐ大手金融機関による円相場の予想は、2018年に円安に進むとの見方が多い。
大幅な円安を予想するUBSは18年末の円相場の目標水準を1㌦=122円とした。安倍晋三首相の再選に注目し、「日本ではインフレ率が徐々に低下すると予想している。日銀は現行の緩和的な金融政策を続ける公算が大きく、実質金利がさらに低下し、円安方向に進む」とのシナリオを掲げる。
日銀の金融政策に関しては、「イールド・カーブ・コントロール(YCC)で円相場とグローバル国債の利回りとの相関関係は高い水準を維持するだろう」(ゴールドマン・サックス)との指摘もあった。
一方でモルガン・スタンレーは18年末までに1㌦=105円までの円高を予想する。「世界的なリフレーション(緩やかな物価上昇)により、日銀が現行の金融緩和策からの脱却を迫られるほどインフレ率が上昇する。日本の長期金利は短期間で大幅に上昇するだろう」とした。
▼大手金融機関の円相場の18年末予想
社名 予想水準
UBS 122円
ゴールドマン・サックス 120円
ドイツ銀行 120円
UBSウエルスマネジメント 115円
HSBC 114円
ソシエテ・ジェネラル 114円
BNPパリバ 112円
バンクオブアメリカ・メリルリンチ 110円
モルガン・スタンレー 105円
TDセキュリティーズ 104円
【QUICKデリバティブズコメント・岩切清司】
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