きょう「大注目」の日銀イベント 政策微修正の地ならしはあるか

北朝鮮が29日午前3時18分ごろ、日本海に向けてミサイルを発射した。ミサイルの最高高度は4000KMを超え、射程は大陸間弾道ミサイル(ICBM)の目安とされる5500KMを遥かに超えると報じられている。ただ、海外市場の反応は一時的なものにとどまっている。ニューヨークダウは一時100ドル近く下げ幅を縮小したが、255.93ドル高の23836.71ドルで取引終了。ドル円も111円台半ばから111円台前半へ下げる場面もあったが、その後は株高を睨みながら111円台半ばを回復した。

リスクオフの流れにならなかった背景は、次期FRB議長に指名されたパウエル理事の公聴会で「銀行規制は現在、充分に厳しい(Tough Enough)」などと述べて、金融規制の緩和に前向きな見解を表明したことや、上院の予算委員会が税制改革法案を可決したことに加え、ケースシラー住宅価格指数やカンファレンスボード消費者信頼感指数が強い結果であったことがあげられる。北朝鮮問題自体も上期ほどの警戒感は薄れている。今はリスクオフ・イベントよりもファンダメンタルズということだろう。

そのファンダメンタルズは先進国共通で「物価以外は好調」。日本以外は金融政策の正常化に向かう方向にある。日本の金融緩和策も変化すると見る向きが増えている。

10月18日に行われた日銀の中曽宏副総裁の講演では「先行き、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、必要であればイールドカーブの形状についても調整を行っていく方針です」と述べた。11月13日に黒田総裁は「リバーサル・レート」に言及。25日の毎日新聞のインタビューで日銀の鈴木人司審議委員は「市場が徐々に変化を受け入れられるように微修正が行われるといったことがあってもおかしくない」と述べた。これらは「日銀がYCCの微調整に向けた『地ならし』を始めていると受け取ることもできる」(証券会社)。そしてきょう、29日16時に中曽副総裁の講演が行われる。ここで、改めて「地ならし」とみられる発言があるか「大注目」(同)であろう。

「微調整」があるとすれば10年金利のターゲットの柔軟化が有力であり、長期ゾーンは買いにくくなる。また、超長期ゾーンに関しては、昨日の40年債入札がやや不調だったように、地合いが悪い。YCC導入に際しては、低金利が金融機関に与える悪影響に配慮し、カーブをスティープ化させようとした面があり、「リバーサル・レート」に言及したこととあいまって、超長期ゾーンの金利上昇が意識される。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジストは、日銀YCCの(微)修正について具体的には以下のようなパターンを想定している。

①「調整利上げ」─10年金利目標を小幅に引き上げる

②「ステルス利上げ」─政策声明文を変えずにオペによる調整で10年金利の誘導水準をそろりと引き上げる

③「目標年限短期化」─コントロールする年限を10年金利から5年金利に変更する

本日29日の中曽副総裁講演(時事通信社主催金融懇話会)は16時ごろから質疑応答を含めて1時間程度の予定。稲留氏は「副総裁が低金利が金融機関に与える悪影響などについて、いつも以上に言及すれば、YCC(微)修正の観測は強まるだろう」と警戒している。

※QUICKデリバティブズコメントで配信したニュースを再編集した記事です。トレーダーやディーラー、運用者の方々へ日経平均先物・オプション、債券現物、先物を中心に旬のマーケット情報をお伝えしています。ライター独自の分析に加え、証券会社や機関投資家など運用・調査部門への独自のネットワークから情報を収集し、ご提供しています。

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