インドネシア、首都でのテロ攻撃 経済全体への長期的影響は軽微か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのHelmy Kristanto(ヘルミー・クリスタント)氏がレポートします。※本記事は2016年1月21日にQUICK端末で配信した記事です。

ISのテロ、小売産業に打撃…観光意欲減退の恐れも

インドネシアではこれまで数年間、大きなテロはなかったが、オフィスや商業施設が立ち並ぶ首都ジャカルタ有数の一等地であるタムリン通りエリアで14日、爆発が起こった。現場は外国大使館や国連関連施設が立ち並ぶ地域。複数の爆発は、近くの警察署ならびにスターバックスの店舗を破壊した。報道によれば、テロ攻撃を仕掛けた容疑者5人を含む7人が死亡、20人が負傷したという。14日のテロ攻撃は、過激派組織「イスラム国」(IS)が関わっているもようだ。

今回の爆発は、9人の犠牲者と50人以上の負傷者を出した2009年のJWマリオット・ホテルとリッツ・カールトン・ホテル爆破事件以来の大きなテロ事件に発展している。テロがインドネシアの中長期の経済成長を頓挫させてはならない。 テロの影響は一時的で、長期的な経済への影響はなさそうだ。ただ、短期的には小売や輸送をはじめとする一部の産業分野にマイナスの影響をもたらす可能性がある。これはショッピングモールや飲食店への客足が遠のくためだ。今後、渡航警告発令が出されれば、インドネシアへの出張客、観光客の減少も免れないだろう。

テロの影響は一時的?株価は一か月で持ちなおす動き

事件の影響を受けるとされる企業は、小売り大手ミトラ・アディプルカサ(@MAPI/JK)と米系家具・日用品量販店「エース・ハードウエア」を運営するエース・ハードウエア・インドネシア(@ACES/JK)だ。両社の店舗の大半がショッピングモールにテナントを出している。タクシー最大手のブルーバード・グループ(@BIRD/JK)は、ジャカルタへの出張客、観光客が減少すれば、業績の重荷となり、国営ガルーダ・インドネシア航空(@GIAA/JK)も、インドネシアへの来訪者減少の影響を受ける。不動産開発大手アグン・ポドモロ・ランド(@APLN/JK)、パクウォン・ジャティ(@PWON/JK)、チプトラ・デベロップメント(@CTRA/JK)など、ショッピングモールを運営する複数の不動産企業にマイナスの影響を与える可能性もある。

2000年以降に発生した7回のテロ事件で、市場は当初はネガティブにとらえたものの、、ほとんどの場合は比較的早く立ち直り、実際のところ事件から1カ月後に株価は9~19%上昇した。インドネシアの軍隊が厳しい統制を敷き、治安回復に向け、さらなるテロを防ぐため反テロ諜報活動を強化することは確実だ。

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金融・財政政策で景気浮揚実現へ…市場は利下げ予想

今回の爆発事件が起きた同じ日にインドネシア中央銀行(BI)が打ち出した利下げにも注目している。利下げは市場にとって明るい材料で、中銀が今後さらに金融緩和政策を打ち出す予兆だ。特に2015年10~12月期に財政面でのさまざまな景気刺激策やマクロ・プルーデンス政策の緩和などを講じたにもかかわらず、経済は大きく回復しなかった。現在、RHBK証券では今年後半にさらに0.25%の利下げが打ち出されると予想している。
今回の騒動がインドネシアの長期的な歩み、特に長期的な成長の強固な基盤を支えるインフラ整備に大きな影響を与えることはない。また、一連の政策が政府の切迫感の高まりに基づいていると確信している。また、市場の信頼度を高める財政面による景気刺激策の進展も期待している。【翻訳・編集:NNA】

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