膠着する円相場 115円の壁、ドル高アノマリーで突破なるか

外国為替市場で円相場の膠着感が強まっている。10月下旬以降、おおむね1ドル=113円台での小動きが続いている。市場関係者の間では115円の壁は厚いとの声も聞かれる。ドル円相場が再び動き出すきっかけは何か。北朝鮮など地政学リスクや米税制改革の行方に注目する向きが多いが、意外な材料もある。10~12月特有の「ドル高アノマリ―」だ。

ドル円チャート

「需給により年末に向けて115円を突破する可能性はある」。こう語るのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏だ。

植野氏によると、10~12月の円相場は円安ドル高に傾きやすい。「この時期の米国は感謝祭、クリスマス、そしてニューイヤーと『お祭りシーズン』。これに伴って米国内外でドルキャッシュの需要が強まるほか、米系の多国籍企業などによる本国へ資金還流が起きるとの思惑も強まる」。その一方、「日本では会計年度の下期入りを機に国内機関投資家マネーが動くとの観測が広がりやすいほか、確定申告時期との絡みから個人の益出しの売買は年明け以降に持ち越されやすい」。

植野さん

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジストの植野大作氏>

実際、データで確認してみると、過去5年連続でこの時期は円安ドル高となっている。

<過去5年間の10~12月期のドル円相場の値動き(1ドル/円)>

ドル円相場の値動き

それでは、2018年のドル円相場はどう動くのか。植野氏は利上げで非伝統的な金融政策からの出口戦略を進める米国と、マイナス金利付き量的・質的金融緩和が続く日本との金利差拡大からドル高を見込み、1ドル=119円台半ば程度をドルの上値のメドと予想している。

「米国の懸念材料は米連邦準備理事会(FRB)理事の空席が目立つこと。米税制改革の先送りは米景気にはプラスに作用するかもしれない。減税は足元の景気が堅調な時期ではなく、腰折れした際に実施した方がカンフル剤として効くからだ」(植野氏)。

今年9月末の円相場は1ドル=112円台半ばだった。年末に向けて「ドル高アノマリー」は再現されるだろうか。

※この記事はQUICKのオプションサービス「QUICKデリバティブズコメント」で配信した記事を再構成したものです。

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