元芸人が歩んだ「億り人」への道 〝ツイッター銘柄〟には手出さず

七夕の夜。都内でメディアや市場関係者が集まる食事会が開かれた。独立系投信の幹部や金融当局者などが交じる中、異色の参加者が井村俊哉さんだった。名刺交換すると大手芸能プロダクションのロゴに「『株』で生計を立てる芸人」との肩書き。いつものごとく興味を抱いた。

運用資産が1億円台に お笑いグループは6月に解散

芸人と聞けば生活が厳しい印象があるものの、「最近、億(1億円の大台)に乗ったんですよ」と景気がいい。「億り人」である。芸人の必要性がどこにあるのか素朴な疑問が浮かんだが、「お笑いグループは6月で解散しちゃったんです」という。

グループ名は「ザ・フライ」。2011年には大型お笑いコンペの1つである「キング・オブ・コント」で準決勝まで進出。ある程度の実力が認められたものの、ブレイクすることはなかった。起死回生の改名も不発に終わり、芸能事務所も退社した。

井村さんが株式投資を始めたのは20歳。芸人としての収入は微々たるものだったが「ドケチなんでキャッシュアウトを極限まで絞っても苦しいことはありませんでいた。お金に不自由したと感じたことはありません」という。

一方で株式投資は順調に進んだ。デイトレードのみならず中期保有も取り入れ16年の年間の売買代金は累計で120億円を超えた。ただ、今年に入って運用スタイルを一変させた。1日で400万円の損失が発生した日、生まれたばかりの子供を抱きかかえても、顔が悲壮感に満ちていると奥さんに指摘されたことがきっかけだった。

現在の投資先はネット広告を手がけるフリークアウト(6094)と立ち食いステーキの「いきなり!ステーキ」などを手がけるペッパー(3053)の2銘柄のみ。これに現金を合わせた運用総資産額が1億円を上回っている。トレードの頻度も極端に減った。

ツイッターで盛り上がる銘柄は反面教師に

いま、個人投資家の間ではツイッターで盛り上がる銘柄の短期売買が注目を集めている。小型株投資を手がけるプロも無視はできない情報空間だ。だが、井村さんに〝ツイッター銘柄〟の話を向けると「まったくやらないですね」と眉間にシワを寄せた。「ありがたい面もあるんです。手を出してはいけない反面教師の銘柄というシグナルとして受け止めてます」。

食事会に参加していた別の市場関係者によると「あの著名投稿者の背後には3つくらいのグループがあるみたいですよ」という。「そこから銘柄名が降りてくるらしい。投稿者自身に明確な違法性が乏しいのも事実。なぜなら自分ではポジションを持っていないから」。
筆者もこの投稿者に会う機会があった際、自分で投資をしているのかを聞いてみたが、うまくはぐらかされたことがあった。

虚々実々が行き交う株式市場。井村さんは株式投資を続けるつもりだが、自分にあったビジネス探しも始めている。多様な投資家の存在がマーケットへ厚みをもたらすことを期待したい。

【QUICKコンテンツ編集グループ:岩切清司】

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