米連邦準備理事会(FRB)は14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利上げを決定しました。今後については年内さらに1回、2018年中に3回の利上げを示唆しました。また、市場が注目していたバランスシート縮小の具体策については、年内にも保有資産(バランスシート)の縮小に着手するとし、米国債を最大で月300億ドル圧縮する案を公表しました。
この結果を受けて、金融市場ではバランスシート縮小のタイミングを従来予想より前倒しし、9月に変更するケースが相次いでいます。JPモルガンは14日付のレポートでバランスシート縮小開始の予想を9月に変更し、次回利上げは12月との見方を示しました。また、アクサ・インベストメント・マネジャーズは「FRBは米国債の償還を60億㌦、住宅ローン担保証券(MBS)が40億㌦とし、段階的に縮小するとしたが、当社の予想よりも規模が大きかった」との声が聞かれました。FRBのバランスシートの規模は現在4.5兆ドル程度(約500兆円)、このうち国債保有が2.5兆ドル弱、MBSが1.8兆ドル弱程度です。
バランスシートの縮小に着手すると宣言したものの、米金利の反応が限定的だった点についてSMBC日興証券の森田長太郎氏は15日付のレポートで「当初段階での縮小ペースは小幅であることや開始時期が12月であろうと9月であろうと方向性としては既に十分に織り込まれている。さらに先々の経済見通しが悪化した際に縮小を停止する『経済条項』が明確に書き込まれている」ことが背景にあると指摘しています。
一方、年内の追加利上げはこれまで9月との見方が多勢でしたが、今回のFOMCを受けて市場では12月に変更するケースが相次ぎました。
<次回利上げとバランスシート縮小タイミングの予想>
利上げ バランスシート縮小
アクサ・インベストメント・マネジャーズ 12月 9月
HSBC 12月 9月
ゴールドマン・サックス 12月 9月
JPモルガン 12月 9月
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナル 12月 9月
ノルデア銀行 9月 12月
バークレイズ 12月 9月
バンクオブアメリカ・メリルリンチ 12月 9月
※各社レポートより作成