米調査会社SGHマクロアドバイザーズのガラマニCEOに聞く
SGHマクロアドバイザーズのガラマニCEO
トランプ米大統領によるコミー前連邦捜査局(FBI)長官の解任は大統領選へのロシア関与疑惑を巡る捜査を妨害するためとみて「第二のウォーターゲート事件」と批判する向きもある。ただ、米調査会社のSGHマクロアドバイザーズのサッサン・ガラマニ最高経営責任者(CEO)は「収拾がつかなくなるような事態が起こらない限り、トランプ大統領の弾劾の可能性はかなり低い」と指摘した。同氏は「弾劾のプロセスは憲法で厳密に定義されており、共和党が大半を占める議会でしか完結できない。与党である共和党が共和党の大統領を弾劾するためには、相当重大な罪である必要がある」との理由を挙げた。
具体的な手続きについては、「米下院が手続きを始めることができる。ただ、憲法で定められた反逆罪・贈収賄といった罪がなければ手続きを始めることはできない」という。仮に米下院が大統領を弾劾したとしても、「実際に弾劾されるまでには上院で手続きが必要だ。最高裁判所長官と審議をして、投票を行うが、弾劾には3分の2の賛成が必要になる。上院は下院よりも慎重なため、3分の2の賛成を集めることは難しい」とした。
トランプ大統領が弾劾された場合、「次の選挙まで副大統領(ペンス氏)が大統領の代わりを務める」という。
なお、歴代の米大統領で弾劾発議を受けて、結果的に辞任に追い込まれた例としては、第37代大統領のリチャード・ニクソンが知られる。ウォーター・ゲート事件でもみ消し工作や司法妨害に大統領が関与した違法行為が明るみに出て、議会が司法妨害などで1974年に弾劾を発議。追い詰められたニクソン元大統領は辞任し、副大統領のジェラルド・フォードが後任大統領となった。