中国株、今年は中国の景気減速とIPOが下押しか 香港株は米利上げが重荷に

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回は、フィリップ証券(香港)のルイス・ウォン(Louis Wong)氏がレポートします。※本記事は2016年1月8日にQUICK端末で配信した記事です。

ハンセン指数、昨年はボライタルな動き…中国A株の影響で連れ安

2015年の香港株のパフォーマンスには失望させられた。代表的な株価指数であるハンセン指数の通年の高値と安値の差は8221ポイント(ザラ場ベース)。高値は4月に付けた2万8589、安値は9月に付けた2万0368で、「先高後低」(年前半に上昇して年後半に下落)の展開だった。指数の昨年末の終値は2万1914と、前の年の14年の終値(2万3605)比で1691ポイント下落し、下落率が7.2%だった。一方、中国本土企業株のパフォーマンスを反映するH株指数の高値と安値の差は5904ポイントで、高値が5月に付けた1万4963、安値が9月に付けた9059だった。昨年末の終値は9661ポイントと、14年の終値(1万1985)比で2324ポイント安となり、下落率が19.4%だった。
ハンセン指数の高値と安値の差は13年と14年がそれぞれ4000ポイント余りだったのに対して、昨年は8000ポイントを超えた。主に中国の人民元建てA株のボラタイルな動きに影響された。昨年の上海総合指数の高値と安値の差は2328ポイント。高値は6月に付けた5178、安値は8月に付けた2851で、香港株と同様に「先高後低」の展開だった。上海総合指数の昨年終値は3539で、14年の終値(3235)から304ポイント上昇し、上昇率が9.4%だった。中国政府は昨年、株式相場の安定化に向けて、利下げや預金準備率引き下げ、政府機関からなる「国家隊」による株式市場への資金投入、上場企業の支配株主と幹部役人に対する株式売却禁止令の実施、新規株式公開(IPO)の一時凍結などの多くの措置からなる「複合技」を実施した。

 

ハンセン指数 推移

中国景気、引き続き後退懸念…てこ入れ効果は表れるか

中国A株の相場は安定したが、市場は依然として中国景気減速の情勢や景気減速に伴う企業収益の収縮に関心を寄せている。16年上半期は中国景気に引き続き減速圧力がかかる見通しだ。中国政府は景気てこ入れに向けて緩和的な金融政策を採用し、利下げと預金準備率引き下げを繰り返し、低排気量の自動車に対する購入税半減の優遇政策などの積極的な財政政策を実施して消費を刺激した。固定資産投資では、中国はインフラ建設への投資を拡大したものの、不動産投資が顕著に減速して固定資産投資の伸びの足かせとなっている。不動産市場の売れ行きが減速して販売物件の在庫が増え、不動産開発企業の投資意欲の減退につながっている。とりわけ用地購入の意欲が顕著に衰え、このため地方財政に影響が出ている。こうした状況を受けて中国政府は不動産市場の在庫削減が景気てこ入れの最も重要な任務であると最近繰り返し述べており、引き続き優遇政策を打ち出すもようだ。
対外貿易は、不安定な海外の需要の影響で経済成長のけん引力にいまだなり得ていない。昨年8月以降、人民元が対米ドルで下落を続けている。元安は輸出にある程度有利となる反面、資金の対外流出を加速し、元建て資産に売り圧力をもたらし、香港株にもその悪影響が波及する。資金の対外流出に対応するため、中国人民銀行(中央銀行)は再び預金準備率の引き下げが必要となるだろう。

ハンセン指数、下値1万9500ポイント程度を予想

昨年第4四半期(10~12月期)に中国A株相場が安定したあと、中国証券監督管理委員会(CSRC)がIPO再開を発表した。市場はこれを好材料として受け止めたが、IPO登録制度が今年3月に実施されれば、IPOが今後加速し、市場に資金調達圧力をもたらす恐れがある。また、CSRCが昨年7月8日に実施した半年間の持ち株売却禁止令が1月8日に期限を迎えるため、その時点で売り圧力が強まるかどうかについて状況を見守る必要がある。さらに、今年は流通解禁となる売却制限付き株式の規模が大きいことも市場への圧力となるだろう。
香港株については、香港経済が不動産市場の減速や小売りの低迷の影響を受ける一方、米国の利上げ期入りに伴い、ペッグ制度下で香港ドルが米ドルと連動することから金利政策で米国に追随することになる。香港の金利が今後一段と上昇すれば、経済や株式市場に不利となる。今年上半期はこれらの不透明な要因が引き続き香港株に重荷となり、ハンセン指数が1万9500程度まで下値を試す展開が予測される。下半期に中国と香港の経済が安定すれば、ハンセン指数は2万4000にまで回復するだろう。

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