インドネシア、租税特赦の第1ステージが終了 今後は普及ペース鈍化か

QUICKではアジア特Q便と題し、アジア各国・地域のアナリストや記者の現地の声をニュース形式で配信しています。今回はRHB証券インドネシアのヘルミー・クリスタント(Helmy Kristanto)氏がレポートします。(※この記事は2016年10月5日にQUICK端末で配信した記事です。)

タックス・アムネスティ制度で大幅な税収増

インドネシアのタックス・アムネスティ(租税特赦)制度は、大きな成果をあげて、第1ステージを終えた。この制度による税収増加額(penalty payment)は97兆2000億ルピアまで膨らみ、事前の予想を上回った。この結果は、制度利用者の拡大に向けた複数の魅力的な規制やシステムの推進など、政府の努力に負う部分が大きい。第1期の加算税収は政府が設定する全体目標(165兆ルピア)には届かなかったが、第1期終了に向け、利用者が飛躍的に伸びた。

タックス・アムネスティの第1期で申告された資産額は3621兆ルピア(2780億米ドル)で、国内資産が全体の70%を占めた。一方、国外からの還流資産は全体のわずか3.7%にとどまった。還流資産は主に、シンガポール、ケイマン諸島、香港、中国、英領バージン諸島で保有されていたものだ。 
 今後、制度の普及ペースは鈍化するだろう。インドネシアのタックス・アムネスティは段階的に税率が上がる仕組みになっていることに注目すると、ほとんどの利用者が最も税率の低い第1期に申告したと思われるためだ。同様に、インドネシア実業家協会も、主要な実業家の95%がタックス・アムネスティの第1期に資産を申告したと述べている。
 このため、市場のタックス・アムネスティへの注目度は低下し、マクロ経済や企業業績に焦点が移りそうだ。我々の見解では、全体的な経済回復は依然として緩やかな過程をたどり、2016年第3四半期の企業の収益成長率はイスラム教の断食明け大祭(レバラン)が明けたことによる平常化を受け、前四半期比でやや軟化する見通しだ。

インドネシア経済は今後も順調に拡大か?

中長期的には、主にマクロ経済状況が好調に推移し、これにより企業収益の伸びが見込めることから、インドネシア市場に関して建設的な見方を維持する。インドネシア経済は今後も通貨ルピアの安定性やインフレ率の低さに支えられ、順調な成長傾向が続く見通しだ。こうした要件は、さらなる金融緩和も可能にするだろう。インドネシアの実質国民総生産(GDP)成長率は2017年に5.3%に拡大し、2016年の予想成長率(5.1%)をやや上回ると見込んでいる。

(出所:QUICK)

ジョコ・ウィドド大統領は最近の閣議で、2017年の設備投資予算を100兆ルピア増額し、400兆ルピアに引き上げるよう指示した。タックス・アムネスティ制度の導入が奏功し、納税者のコンプライアンスレベルが向上。税収拡大が見込めることが、予算拡大の理由の一つとなっている。
 【翻訳・編集:NNA】

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