来年秋に英経済は混乱に見舞われるだろう――。
10月28日に英ロンドンで開かれた日本経済新聞社とフィナンシャル・タイムズ(FT)の共同セミナーで、FTのエグゼクティブ・エディター、マイケル・ストット氏はこう予想した。
英国では2016年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が前期比0.5%増と、6月下旬に欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を決定した後も足元の景気は底堅さを維持している。
もっとも、EU単一市場への残留より移民制限を重視する「ハード・ブレグジット(強行離脱)」になるとの見方から通貨ポンドが急落するなど経済の先行き不透明感は根強い。ストット氏は「現在のメイ政権は強行離脱を進めるとみられ、通貨ポンドの一段の下落や物価上昇、失業率の上昇などを引き起こすだろう」と指摘した。
セミナーは日経ヨーロッパ社が主催し、大手会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)、日本取引所(JPX)グループ、QUICKが協賛した。EYのグローバル・ヘッド・オブ・タックス・ポリシー、クリス・サンガー氏は「企業は様々なシナリオを策定し、経営戦略の優先度を柔軟に変更できるようするべきだ」と語った。