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市場関係者が抱く郵政3社上場への「不安」(10月調査)

記事公開日 2015/10/5 13:00 最終更新日 2015/10/5 13:00 調査・サーベイ 国内 QUICK月次調査<株式> QUICK月次調査

9月に入ってからも株価は安定せず、日経平均株価は9月29日、1万7000円を割り込み、一時は1万6901円まで値下がりしました。中国バブルの崩壊懸念や、最終的には見送られたものの9月の米利上げ観測、そして日本の景気のピークアウト懸念などが相まって、国内株式相場はさえない展開となりました。

相場の先行き不透明感がくすぶるなか、日本郵政グループ3社の上場というイベントが近づいています。

国内最大級の市場心理調査であるQUICK月次調査。9月29日~10月1日に株式市場を対象として実施した調査(証券会社および機関投資家の株式担当者176名が回答)では、郵政3社の上場について調査しました。

また毎月実施している相場予想の定点調査では、日経平均株価の1か月後、3か月後、6か月後の予想値が、前月調査分に比べて下方修正されました。6か月後である2016年3月末の日経平均の市場予想平均は1万9711円と、今年度内の2万円台回復を見込む市場関係者は減ったようです。

郵政グループ3社、成長性への不安残る…親子上場への批判も7割超え

11月4日に郵政グループ3社が株式を上場します。3社の想定売出価格は、日本郵政が1350円、ゆうちょ銀行が1400円、かんぽ生命が2150円と言われていますが、各社の初値(上場後の取引で最初についた価格)は売出価格に対してどうなるのかをアンケート調査したところ、3社とも「同水準」以上に着地するという回答が8割を超えています。

郵政3社、初値は売出価格と比べてどうなるか

とはいえ、郵政グループの「成長性」という点で言うと、期待感があるとは言えない状況です。中期的な収益の成長性について聞いたところ、金融事業に関して「大手銀行を上回る」という回答比は全体のわずか7%であり、「大手銀行を下回る」が59%にも達しました。また物流・その他事業についても、「上場企業の平均を上回る」という回答比が全体の7%で、「平均並み」が48%、「平均を下回る」が45%となりました。

郵政グループの中長期的な収益の成長性

総じて競合企業と比べた成長力の乏しさを指摘する内容であり、郵政グループ3社の株式は、積極的にキャピタルゲイン(値上がり益)を狙う銘柄ではなく、どちらかというと安定的に、平均よりも高い配当利回りを取りにいく、インカム(利回り)重視の投資対象になるでしょう。3社の配当利回りは3%を超える可能性が高いと言われており、かつての電力株投資に近い性質になると思われます。逆に言えば、配当利回りが抑えられた場合、郵政3社の株価推移は不安が伴うものとなりそうです。

別の視点でも問題視されている部分があります。今回の郵政グループ3社の株式上場は、同時親子上場という特殊な形になりました。法解釈も含めてさまざまな見方はありますが、これに対してはあまり良いイメージはないようです。

今回のアンケート調査でも、同時上場に関して「反対」という回答比が全体の41%を占めています。次いで「原則反対だが今回のケースはやむを得ない」が32%にもなり、条件付きも含めると、反対の声が73%にも達しました。

郵政親子3社の同時上場について

全体相場への影響は「投資家層の拡大」と「需給悪化懸念」が拮抗

今回の上場は全体相場への影響も気になるところです。知名度の高い企業の上場であるため、個人投資家層の拡大が期待されます。NTT、JR、JTといった過去の政府保有株の上場は、株式市場の話題となり、新たに証券会社に口座を開く個人投資家を増やす効果がありました。一方で、資金吸収額は郵政3社で1兆円を超える規模になるため、株式需給の悪化も警戒されるところです。今回の郵政3社上場は、株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか。

郵政3社の上場が市場に与える影響

QUICKの調査では「投資家層の拡大を促しプラス」、「日本市場への注目度が高まりプラス」という、ポジティブな回答は、両者を合わせて全体の34%。「株式需給の悪化を招きマイナス」、「エクイティストーリーがなく市場の不信感を招きマイナス」というネガティブな回答が、両者を合わせて48%となりました。個人投資家の人気は高まりそうですが、プロの間では、成長性の乏しい巨大企業が上場することで日本市場への「不信感」を招くとの不安や、株式需給悪化の懸念があるようです。

年度内2万円超えは遠のく…期待材料は「実体経済」から「政策」にシフト

毎月実施している日経平均株価の見通し調査では、見通しが下方修正されました。日経平均株価の1か月後の見通しは、前月に引き続き下方修正され、9月調査分の1万8827円から、1万8042円まで下落しました。企業の決算期末が集中する3月末にかけては上昇傾向に向かうとの見方ですが、それでも2万円には届かず、1万9711円で留まるという予想値となっています。国内株の見通しについては、慎重な見方がまだ支配的と言えそうです。

kabu_201510_5

今後、6か月程度を想定した場合、株価の変動要因として注目されるものを調査したところ、これまでマイナス材料と見られてきた「政治・外交」について、プラス材料と見込む声が優勢に転じています。安全保障法案が一段落し、経済政策に政府の軸足が移行することを好感したものと思えます。一方、実体経済である「景気・企業業績」をプラス要因と見込む声は4か月連続で低下し、マイナス要因に転落する可能性も見えてきました。

資産運用担当者73人に現在運用しているファンドの株式組み入れ比率のスタンスを聞いたところ、「かなり引き上げる」「やや引き上げる」の回答の合計が23%と前月(26%)から減少しました。一方、「現状を維持する」との回答が67%から73%に上昇しています。「かなり引き下げる」「やや引き下げる」の回答合計も7%から4%に低下しており、市場参加者の様子見姿勢が透けて見えます。


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