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東証公表の企業統治ルール案、形骸化の回避が課題に(3月調査)

記事公開日 2015/3/9 13:00 最終更新日 2015/3/9 13:00 調査・サーベイ 国内 QUICK月次調査<株式> QUICK月次調査

株式投資をされている方は、「コーポレート・ガバナンス」という言葉をご存知でしょうか。日本では「企業統治」と訳されることが多く、「株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み」(コーポレートガバナンス・コード原案より引用)を意味する言葉とされます。

要するに、株主や従業員、取引先といった様々な利害関係者のほか、経済全体との関係を考慮したうえでの企業経営の仕組み、ということです。

さて、東京証券取引所と金融庁は、昨年8月からこの3月まで「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」を開催し、先週の3月5日に「コーポレートガバナンス・コード原案」を公表しました。コードとは規則とか規定、という意味を持つ言葉です。

このコーポレートガバナンス・コードは、上場企業の持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を目標として制定されたもので、企業が自律的な対応を図ることにより、会社や投資家、ひいては経済全体の発展に寄与するきっかけを作るものとして注目されています。このコードを導入した企業においては、適切な情報開示や透明性の確保、株主との対話、あるいは独立社外取締役の責務など、さまざまな面での「原則」を考慮した企業経営を執り行うことが求められ、かつコードを実施するか、しない場合はその理由を説明することが求められます。

形骸化に懸念…実行性あるコードの施行が求められる

今回のQUICK月次調査(証券会社および機関投資家の株式担当者271名が対象、うち回答者は174名、調査期間は3月3~5日)では、「企業統治ルールの評価」について、質問しました。

「コーポレートガバナンス・コード原案」に先立つ2月24日、東証が公表したコーポレート・ガバナンスルールの原案では社外取締役を2人以上選任するよう促しており、今回公表された「コーポレートガバナンス・コード原案」にも同様の記載があります。この点について、「賛成」が47%、「会社によって状況が異なるため一概に言えない」が50%を占めました。賛成多数にはならなかったものの、明確に反対しているのは1%に止まっており、おおむね賛成であると考えられます。ルール全体についても、「おおむね評価できる」の回答が7割を超えました。

東証のコーポレートガバナンスルールについて(1)(2)

ただ、社外取締役について、一部には「形式的なイエスマンの選任であれば意味がない」との意見もあり、社外取締役の複数化が実現した場合、企業と社外取締役との間で緊張感のある関係構築が可能かどうかが問われそうです。

実際、社外取締役にふさわしい人材を確保できるかという問いに対しては、69%が「一部の企業は確保できる」と回答。「一部」という条件付き肯定が多数を占めており、社外取締役の人材確保が難しいことを示唆しています。

東証のコーポレートガバナンスルールについて(3)

これは、株主との対話についてどう考えているかという問いに対して、「形式的な対話にとどまる」が全体の62%を占めていることとも重なりますが、社外取締役を複数選任したとしても、それが形式的なものでは、コーポレートガバナンス・コードが機能しなくなる恐れがあります。ルール全体の評価については「おおむね評価できる」と言う回答が72%と多数を占めているだけに、今後は実効性のあるルールの施行が求められます。

東証のコーポレートガバナンスルールについて(4)

株価予想は上方修正、決算動向と企業年金・公的資金の動向に注目

株式相場に目を戻しましょう。3月の決算期末にかけて、国内株式市場は活気を取り戻しつつあります。恒例の日経平均株価予想について聞いたところ、今回の調査では、1カ月後の日経平均株価予想は1万8831円となり、2月調査分に比べて大幅に上方修正されました。ちなみに、調査期間中の日経平均株価は、1万8586円から1万8910円で推移しています。

3カ月後の日経平均株価については1万8811円。6カ月後については1万9085円を予想。いよいよ2万円台が視野に入ってきました。

株価変動要因の注目度は、「内部要因・市場心理」と「海外株式・債券市場」が共に上昇。「景気・企業業績」と「金利動向」、「為替動向」が低下しました。ただ、株式相場に与える影響度を考慮した指数(プラスが大きいと上昇要因として注目)をみると「景気・企業業績」が73.8で、中立である50を大きく上回っています。2015年3月期決算については、過去最高益を更新する企業が多いと見られる一方、4月に入ると2016年3月期決算の見通しを発表する企業も出てくるため、さらなる増益見通しになるのか、横ばい、あるいは減益見通しになるのかによって、今後の株価に及ぼす影響が変わってきます。企業業績の動向からは目が離せません。

注目されている投資主体は、2月調査分と比べて大きな変動がありませんでした。ただ、株式市場に上昇インパクトを与える投資主体としては、「企業年金・公的資金」への関心が引き続き増加傾向をたどっています。また「外国人投資家」も、上昇要因としての注目度が高まっています。

現状は強気でも、今後は慎重スタンスに

資産運用担当者に、運用しているファンドの国内株式組入状況について質問したところ、通常の基準としている組入比率に対して「かなりオーバーウエート」(8%→12%)、「ややオーバーウエート」(34%→41%)がそれぞれ、2月調査分に比べて上昇しました。一方、「ニュートラル」(47%→37%)、「ややアンダーウエート」(11%→8%)が低下し、資産運用担当者もこのところの株価上昇で、国内株式に対して強気になったことが分かります。

ただ、株価上昇のピッチが速かったせいか、今後についてはやや慎重なスタンスで臨む資産運用担当者が増えているのも事実で、当面のスタンスについては「かなり引き上げる」の回答比が引き続きゼロで、「やや引き上げる」が低下(21%→16%)する一方、「やや引き下げる」の回答比が上昇(8%→10%)しました。


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