QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2019/11/12)
・今期は従来予想を上回る大幅な減益に
20/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益3兆9000億円→3兆7700億円(前期比2%減)、コア営業利益2900億円→2500億円(同20%減)へ引き下げる。世界的な経済成長の鈍化や半導体・自動車市場低迷の影響を受けているほか、MMA(メタクリル酸メチル)、石化系原料・製品の市況が総じて悪化。ヘルスケア部門での一部子会社の連結除外の影響が想定より大きかったこともあり、全般に下方修正した。前期比では機能商品、産業ガスの両部門が拡大するものの、MMAの採算悪化とロイヤリティ収入の減少でケミカルズ、ヘルスケアの両部門が大幅な減益となる見込み。続く21/3期以降は、主要製品の販売数量増などで業績は回復に向かうと予想する。
・上期は産業ガス部門を除いていずれも苦戦
20/3期上期の連結コア営業利益は、前年同期比30%減の1308億円。産業ガス部門が好調に推移したが、他の各部門は需要低迷や採算悪化、ロイヤリティ収入減少などでいずれも苦戦し、連結全体で大幅な減益を強いられた。
・リスクファクター ~石化製品の採算など
・アナリストの投資判断 ~割高感はないが、当面は上値の重い展開が続くと予想
18年初めに上場来高値をつけた後、株価はほぼ一本調子で下落。19年5月から夏場にかけて一時700円を割り込んだが、その後やや値を戻している。直近では来期の当研究所予想連結PERで8倍台と同社の過去の水準を下回り、割高感はないものの、MMAの市況低迷や自動車関連製品の不振が続くなど、事業環境には不透明感が強い。来期以降は各分野の主要製品の販売拡大で業績は回復に向かう見通しだが、こうした環境ではPERの上昇は難しく、当面は総合化学メーカーの平均並みとなる同9倍程度の評価にとどまり、上値の重い展開になると予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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