QUICKコメントチーム=山口正仁、写真=Tomohiro Ohsumi/Getty Images
台風19号は記録的な大雨で河川の洪水や、建物・道路・交通機関ほかの浸水被害などをもたらし、被災地は広範囲にわたった。河川堤防の決壊や交通インフラの被害を目の当たりにすると、防災・減災が国民生活をまもる重要課題であることを再認識させられる。
2018年12月14日閣議決定の「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」について内閣官房のウェブサイトが概要を掲載している。防災のためのインフラ整備などで「おおむね7兆円程度の事業規模で着実に実施」しており、当初の公共事業予算の推移をみても継続的な予算投入がみてとれる。
(出所:内閣官房ウェブサイト 国土強靭化資料)
併せて、財務省の財務統計から、国土保全費や国土開発費、災害対策費の推移についても過去の経緯をみてみた。ごく単純にみた限りでは民主党政権、自民党政権を通じここ十年は6~8兆円規模での推移となっている。
(データ出所:財務省 財政統計)
安倍晋三首相は台風19号の被害について、被災自治体の財政負担を軽減する「激甚災害」に指定する方針を示している。国土強靭化政策によるインフラ投資への再注目、10月末にも見込まれる補正予算の編成は、株式相場にとっても大きなテーマ。20年の夏季五輪・パラリンピック、25年の大阪万博だけでなく、大手ゼネコンほかの関連銘柄にとって「国土強靭化」がキーワードとしてあらためて浮上しそうだ。
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