QUICKコメントチーム=大野弘貴
アナリストによる主要企業の業績予想に底入れ感が出てきた。QUICKコンセンサスDI(7月末)は、金融を含む全産業ベースでマイナス33と、前月(マイナス38)から5ポイント改善した。内訳は「強気」が58銘柄(全体の16%)、「変化なし」が127銘柄、「弱気」が175銘柄(全体の49%)だった。製造業DIは前月から4ポイント改善しマイナス51、非製造業はマイナス7と前月(マイナス17)からの改善が10ポイントにのぼった。10ポイント以上の改善は2016年11月以来、2年8カ月ぶりだ。
(注)QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
業種別でみると算出対象の16業種のうち、DIがプラスだったのは0(ゼロ)。マイナスは12業種で、変わらずが4業種だった。「小売り」や「不動産」などの持ち直しが非製造業DIの改善に寄与した。
3ヵ月前の予想純利益と比べて上方修正率が最も大きかった銘柄には、中国電(9504)や楽天(4755)など非製造業の銘柄が並んだ。いずれも内需関連企業であり、米中対立の影響が限定的だった。楽天は10月に予定されているモバイル事業は携帯電話料金の水準などが決定していないため、先行きが読みづらい。一方、楽天カード事業が好調なほか、投資事業の投資収益の計上が純利益を押し上げるとアナリストはみているようだ。
一方、下方修正率の1位は92%減のハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)だった。中国での設備投資が手控えられ、同社の手掛ける精密減速機の需要が落ち込んでいるようだ。足元の業績が低迷する日産自動車(7201)もランクインした。同社が打ち出した構造改革に株式市場は懐疑的で、1日の午前中に年初来安値(700.1円)をつけた。