企業業績の見通し悪化にようやく歯止めがかかった。アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDI(4月末)は、金融を含む全産業ベースでマイナス35と、前月(マイナス36)から1ポイント改善した。改善は昨年8月以来、8ヵ月ぶり。内訳は「強気」が35銘柄(全体の9%)、「変化なし」が166銘柄、「弱気」が162銘柄(全体の44%)だった。非製造業は前月(マイナス12)と変わらなかったが、製造業は前月から1ポイント改善しマイナス55だった。
QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
業種別でみると算出対象の16業種のうち、DIがプラスだったのは「医薬品」の1業種のみで前月に比べ12ポイント上昇の18。マイナスは13業種で、「鉄鋼」が▲100(前月は▲40)と、2016年7月以来の低水準だった。変わらずは2業種だった。
個別銘柄では、3カ月前の予想純利益と比較した上方修正率の上位には前月と同様、1位がガンホー(3765)、2位が協和発酵キリン(4151)と続き、5位には東洋紡(3101)がランクインした。東洋紡は4月、世界トップレベルのベンチャーキャピタルであるPlug and Play(本社:米国カリフォルニア州)と、新素材・包装分野におけるパートナーシップ契約を締結したほか、2021年春をメドに電子部品の製造用フィルムの生産能力を現状の2倍に増やすと発表した。
一方、下方修正率は予想純利益が1月末の61億6200万円から34億円へ引き下げられたCKD(6407)が3位にランクインした。CKDは2月14日に2019年3月期の純利益を前回発表(2018年11月14日)の48億円から29億円に下方修正した。(ナレッジ開発本部)