アルファベット、攻めるも守るも巨額投資 費用増で減益も 【米決算プレビュー:7~9月期】

「グーグル」のアルファベットは25日の大引け後に2018年7~9月期(3Q)の決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(37社、22日時点)は前年同期比9%増の10.42ドル、売上高は23%増の272億ドルと見込まれている。検索エンジンや動画投稿サイト「Youtube」での広告収入の拡大はコンセンサス。だが、喜んでばかりもいられない。市場では、減益決算への警戒感も高まっている。

【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比)
・売上高 272億9300万ドル(+23%)
・EPS(1株利益) 10.42ドル(+8.9%)
 (注)QUICK FactSet Workstationより作成

3Qは、収益の大部分を占める広告の売り上げが好調だったようだ。エバーコアISIは「モバイル検索広告で30%を超える成長が期待できるほか、Youtubeの収益貢献度も高まっている」と指摘。バークレイズも「自動入札など新しい広告ツールに力を入れており、マーケットシェアを獲得し続けている。23%の増収は達成可能だ」とみている。トップラインの拡大は、多くの市場関係者の見方が一致するところ。ネット広告市場の拡大を追い風に、予想を上回る売上高も期待できそうだ。

アルファベットの向こう12カ月の予想EPSをもとにしたPERは、およそ24倍。同じ「FAANG」の一角のアマゾンやネットフリックスは70~80倍ほどだ。あるアナリストは「アルファベットはEPSの成長に伴って株価が切り上がってきただけ。高いわけではない」と話す。レーティングを付与している43社中、39社が「バイ」や「オーバーウェート」としている。

検索エンジンやYoutubeの成長はコンセンサス。市場の関心は「第三の柱」が育ちつつあるかどうかだ。アルファベットは、安定して増え続ける広告収入を使ってさまざまな分野で種まきをしている。ノムラ・セキュリティーズは3Q決算で「クラウドサービスの『グーグル・クラウド・プラットフォーム』や各種デバイスなどハードウェア、自動運転の『ウェイモ』といった大型プロジェクトの進展を確認したい」としている。

なかでも、次の柱として期待の大きい分野が、膨大なデータを保存できるクラウドサービスだ。データ量の増大にともなって需要が高まっている。アルファベットのほかアマゾンやマイクロソフトも力を入れており、3社による寡占化が進んでいる。グーグル・クラウドの売り上げは4~6月期(2Q)時点で10億ドルを超えた程度。広告と比べて小さいが、バンクオブアメリカ・メリルリンチは「2019年には100億ドルまで成長する」と見込む。アルファベットの評価を一段と高めるカタリストになるのか、確認する決算となりそうだ。

一方、クラウドサービスは、データ量の増加に対応するためデータセンターの増強も必要になる。設備投資が膨らみやすく、コストとなって利益を圧迫する。アルファベットの2Qの設備投資額は55億ドルと、前年同期比で2倍近い規模に達した。この期の売上高である262億ドルの2割に及ぶ。

アルファベットの設備投資額の推移(四半期ベース、単位百万ドル)

(注)QUICK FactSet Workstationより作成

データセンターだけでない。フェイスブックは個人情報が流出し、株価を大きく下げた。10月に明らかになったアルファベットのサービス「グーグルプラス」での個人情報流出は、サービスが終了する事態にまで発展した。ネット企業にとってセキュリティ対策は喫緊の課題。セキュリティ対策のための設備投資を打ち出すのであれば、さらに利益の圧迫要因となる。

トラフィック獲得コスト(TAC)の増加率が鈍り利益にプラスに働く、との見方は多いものの、設備投資の膨脹への不安は根強く、7社のアナリストはEPSが前年同期と比べ1ケタ台前半の増益率にとどまるか、2017年の2Q以来の減益を見込む。「最近はコストへの視線が厳しい。クラウドの成長に向けた前向きな投資でも、セキュリティ対策のための現状維持を目的とした投資でも、減益決算ならば売られるだろう」(アナリスト)との声もある。

ネット関連株が主力の一角を担う米株式市場だけあって、強弱入り交じるアルファベット決算に対する関心は高い。減益となれば、相場全体の重荷になりかねない。(松下隆介)

 

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

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