テスラ発表前倒し、今度はどんなサプライズ 【米決算プレビュー:7~9月期】

テスラが24日の大引け後、2018年7~9月期(3Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、調整後の1株当たり損益(EPS)の市場予想の平均値(23社、23日時点)は0.03ドルの赤字で、8四半期連続の赤字が見込まれている。8月にイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターで「非公開化を検討」とつぶやき、大きな混乱を招いたことで業績に対する関心は低いとみられるが、昨年は11月1日だった3Q決算を前倒しして発表することから、にわかにサプライズがあるのではないかと期待が高まっている。

【7~9月期決算の市場予想】(前年同期比)
・売上高    60億5200万ドル  (2.02倍)
・EPS(1株損益)0.03ドルの赤字 (Non-GAAP、前年同期は2.92ドルの赤字)

テスラの業績を占う上で重要なのは、量産型電気自動車(EV)のモデル3の生産動向だ。テスラは10月2日、2018年7~9月期(3Q)のEV出荷台数を発表し、全出荷台数は8万3500台で市場予想(8万1000台)を上回った。量産車のモデル3は5万5840台で市場予想(5万6100台)を下回ったものの、12日にEVの情報サイト・エレクトレックが「テスラが2018年10~12月期(4Q)に力強い生産でスタートし、1万1500台のEVを生産し、このうち量産車のモデル3は7400台を占めた」と報じ、比較的順調とみられている。

モデル3の四半期生産台数のコンセンサス・トレンドを見ると、3Qのコンセンサスは5万6100台にとどまる一方、注目すべきは2018年10~12月期(4Q)が6万5400台にやや上昇していること。2019年1~3月期(1Q)以降は7万台超となっており、週5000台の生産目標を達成したことで、四半期(13週)で6万5000台以上の生産が徐々に増えるとみられている。マスク氏のツイッターで投資家の信頼感が薄れているとみられたが、モデル3に関しては順調な生産が見込まれているようだ。

(注)QUICK FactSet Workstationより作成

決算発表を前に、23日の米国市場でテスラ株は12%高で急伸した。空売り投資家のシトロン・リサーチが23日、ツイッターで「テスラを今四半期にロング(買い持ち)にしている」とつぶやいたことで警戒感が薄れる展開だった。シトロンは、テスラがフォードの決算発表と同じ24日に決算を発表すると明らかにしたことについて「空売りには悪い兆候になるかも知れない」などと指摘していた。

今回の決算に関して、モルガン・スタンレーは23日付のリポートで「なぜテスラは決算を前倒ししたのか」と指摘。決算の前倒しはモデル3の生産動向、4Qの業績見通しでポジティブなサインが出ることを示唆しているなどと見込んでいた。投資判断のニュートラル、目標株価の291ドルは維持していた。

一方、弱気派のバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは23日付のリポートで「3Qは強い生産動向、車種の好ましい組み合わせ、運転資金のメリットで良いものになりそうだが、これらのファクターは一時的だろう」と指摘。バリュエーションやキャッシュフローに疑問があるとし、投資判断のアンダーパフォーム、目標株価200ドルを維持していた。

お騒がせCEOの動向に注目が集まる(Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images)

業績にやや安心感があるが、テスラに関してはマスク氏の動向に振り回される状況が続きそうだ。

マスク氏はツイッターで非公開化を検討と発信したことに関連して米証券取引委員会(SEC)と9月に和解したばかりだが、その後の10月4日にSECを「空売り投資家を金持ちにする委員会」と挑発するなど、ツイッターで自由奔放に情報発信を続けている。テスラはガバナンスを強化するため新たに独立した取締役2人を加えるほか、マスク氏の情報発信を監督する体制を整えるハズだが、ツイッターを見ている限り、あまり改善はみられない。

また、テスラの次期会長の有力候補に21世紀フォックスのジェームズ・マードック最高経営責任者(CEO)が浮上と報じられるなど、11月中旬までに会長人事で結論が出る見通しとなっている。決算発表のカンファレンスコールでガバナンス強化策などが出れば投資家心理の改善に繋がるとみられるが、テスラ株に投資する上では清濁併せ呑む心意気が必要かも知れない。(片平正ニ)

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

 

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