新興国不安の深まり次第で「米利上げ見直し」4割 月次調査<外為>その1

乱高下するトルコリラをはじめ新興国の通貨不安がなかなか収まらない。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した外国為替市場関係者への調査によると、通貨不安が一段と深刻になった場合、米国は金融政策を見直し、利上げペースにブレーキがかかるとの見方が4割超に上った。
月次調査は10~12日に実施し、金融機関や事業会社の外為担当者98人が回答した。

米連邦準備理事会(FRB)は好調な経済を受けて金融正常化のプロセスを進行中。金融市場では、今月と12月を含めて今年は最大4回、来年も数回の利上げが見込まれている。

新興国通貨不安が一段と深刻になった場合の米金融政策運営の見直しの有無を尋ねたところ、最も多い回答は「見直しはない」(54%)だった。その一方で「利上げ回数を減らす」(33%)と「利上げ打ち止め」(10%)、「利下げに動く」(1%)と見直し予想が目立った。

調査はその前段で、新興国不安のそもそもの要因は何かを聞いており、回答者が最も影響が大きいとみるのが「米の利上げ」(49%、複数回答)だった。

みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「米の利上げが止まらない限り新興国通貨の苦境が続くだろう。米経済の好調が持続するほど、新興国が通貨安に陥る皮肉な状況」と指摘する。米国が進める金融正常化が自縄自縛に陥り、成り行き次第では挫折しかねない可能性を市場関係者が意識し始めたとみることができる。

そのほか調査では、トルコリラ、アルゼンチンペソに続く「危機候補」を挙げてもらった。ブラジルレアル(31%)と南アフリカランド(25%)が突出。国際通貨研究所の武田紀久子主任研究員は10月のブラジルの大統領選など国内政治の混迷ぶりを懸念する。レアルは13日に対ドルで最安値を更新し、年初からの下落率が2割に達した。

新興国通貨安・ドル高の構図は円高要因にも円安要因にもなる。新興国通貨不安が一段と深刻になった場合の今年末のドル円相場については「1ドル=105~110円」と、今よりやや円高方向の予想が4割だった。(QUICKナレッジ開発本部)

 

※日経ヴェリタスの16日付記事を掲載。QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。Qr1などQUICKの情報端末では月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。

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