アップル、本当の期待と驚きは新機種が出る7~9月 【米決算プレビュー】

アップルが31日の大引け後、2018年4~6月期(3Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによれば、1株当たり利益(EPS)の市場予想の平均値(34社、26日時点)は前年同期比29.3%増の2.16ドルとなっている。新型の多機能携帯電話(スマートフォン)であるiPhoneの発表前の四半期のため販売台数でポジティブ・サプライズは期待しづらいが、7~9月期の業績見通しで強い数字が示されれば新機種への期待感から見直し買いが入る可能性もある。

【4~6月期決算の市場予想】   (前年同期比)
・売上高            523億ドル  (+15.1%)
・EPS(1株利益)    2.16ドル  (+29.3%)
・iPhone販売台数 4179万台  ( +1.8%)

アップルは例年、7~9月期(4Q)にiPhoneの新機種を発売し、10~12月期(1Q)に最高益を更新するのが通例となっている。今回は3Q決算で新機種発表前の買い控えが想定されるほか、米中の貿易紛争懸念が残る中、米国で設計して中国で製造するiPhoneがターゲットにされるのではないかとの警戒感も根強い。

モルガン・スタンレーは23日付のリポートで、同社の従来予想を若干修正して3QのiPhone販売台数を3980万台と見込みつつ、「投資家は引き続き7~9月期のガイダンスと秋のiPhone販売に注目するとみられる」と指摘した。アップルは今秋にiPhoneの新機種①6.5インチの有機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレー(OLED)を搭載したiPhoneX Plus、②現行のiPhoneXと同じ5.8インチのOLEDモデル、③6.1インチの液晶パネル(LCD)モデル――の3機種を発売すると見込まれている。

リポートでは「サプライヤーによれば、6.1インチLCDモデルの量産に1カ月の遅れが出たが、当初想定されていた6週間の遅れより小幅である」としながら、「それでもiPhoneの3つの新モデルはすべて9月に発表される見通しだ」と指摘。「当社の中国チームは2018年下期のiPhone生産台数を9000万台に据え置いている。これは2017年下半期(8900万台)を若干上回る水準だ」とし、iPhoneXの生産・販売が遅れた前年同期よりも生産台数が増えることを評価していた。アップル株のカタリストとして9月の新製品が重要としつつ、リスク要因として①iPhone発売日の先送り、②サービス部門の大幅な予想未達、③貿易問題を巡る米国と中国の舌戦が激化する――を挙げていた。

<アップルの四半期iPhone販売台数のトレンド推移>

※QUICK FactSet Workstationより作成

9月に発売されるiPhoneの新機種の動向を探る上で注目されるのが、2018年7~9月期(4Q)の業績見通しである。BMOキャピタル・マーケッツは22日付のリポートで、4Qの売上高を559億ドル、EPSを2.44ドルと見込み、市場予想よりも弱めで見込んだ。「iPhoneの平均販売価格の見通しに警戒している」と指摘し、新機種のOLEDモデルが余り人気を博さない可能性を指摘した。BMOによればiPhoneの買い換えサイクルは従来の2.2年から2.5年に伸びているといい、「新製品が顧客を惹きつけなければさらにサイクルが伸びる可能性がある」と見込んだ。

iPhoneの平均販売価格は高価格のiPhoneXの販売が始まった2017年10~12月期(1Q、778ドル)をピークに低下基調にあり、4~6月期の市場予想は704ドルとなっている。7~9月期で724ドルと3四半期ぶりに増加が見込まれているが、会社側の予想が市場予想並みの低めの数字になると、高価格の新機種は売れないとアップル自身が考えていることを意味するだけに、新製品投入が予定されている7~9月期の見通しに、より関心が集まりそうだ。

アップル株は26日に195.96ドルまで上昇し、連日で分割後の上場来高値を更新していた。今回の米決算では決算を機にグーグルの親会社であるアルファベットやアマゾン・ドット・コムが大幅高となる一方、ネットフリックスやフェイスブックが売られる展開で、FANG銘柄の中で選別の動きが強まっている。アップルは決算前に期待先行で上昇しているだけに、材料出尽くしの動きもやや警戒されそうだ。(片平正ニ)

 

※QUICKエクイティコメントで配信したニュースを再編集した記事です。QUICKエクイティコメントは、国内株を中心に相場動向をリアルタイムでLIVE解説するQUICKのオプションサービスです。米国株については決算結果の速報ニュースのほか、FANGプラスの銘柄を中心に決算発表前に注目ポイントをまとめた「米決算プレビュー」を配信しています。投資に役立つ独自コンテンツをまとめたQUICK端末の「ナレッジ特設サイト」では、米決算プレビューに加えて決算発表の日程も公表しています。

 

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