昭和電工(4004)の業績上方修正期待が広がっている。QUICKが算出するコンセンサスDIの対象銘柄うち、昭電工の純利益の上方修正率が最も大きくなった。
5社以上のアナリストが業績を予想する381銘柄を対象に、3カ月前と比べた純利益の上方修正率が大きい銘柄をランキングした。トップは昭電工で、2018年12月期の連結純利益は3月末時点で688億円の予想だったが、6月末に1030億円に拡大した。上方修正の背景には、同社が手掛ける「黒鉛電極」の需要増加がある。この部材は鉄くずを溶かして粗鋼を生産する電炉の電極として使用されている。
黒鉛電極の市況高騰とマージン拡大を見込み、SMBC日興証券では6月21日付のリポートで昭電工の投資判断を3段階中の真ん中から最上位に引き上げた。これを受けて足元の株価は上昇に転じている。
なお、会社側の純利益予想は前期比2.5倍の850億円だ。
一方、純利益の下方修正率が最も大きいのは川崎汽船(9107)。19年3月期の連結純利益の予想は3月末時点で124億円だったが、6月末は42億円に縮小した。コンテナ事業を手掛ける新会社のコストが利益を圧迫するとみるアナリストが多いようだ。会社は70億円の予想を公表している。
川崎船の株価は1月に付けた年初来高値3040円から下落基調になっている。
アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDI(6月末)は、金融を含む全産業ベースで前月と変わらずマイナス8だった。製造業の低下を金融の上昇で補った。製造業の中では特に食料品セクターの弱気見通しが増えた。物流コストや原材料価格の上昇などが懸念材料としてあるようだ。
ただ、サッカーワールドカップ(W杯)で日本が決勝トーナメントに進出すると、ビールなどの消費量が増えると言われる。日本代表の「勝負飯」とされる、うなぎの消費も増えそうだ。W杯特需がアナリストの弱気見通しの修正につながる可能性もある。日本は3日午前3時(日本時間)に初の8強入りを目指しベルギーと対戦する。(根岸てるみ)
※QUICKコンセンサスDIとは
アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。