アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(4月末時点)は、金融を含む全産業ベースで前月のプラス5から7ポイント悪化してマイナス2となった。マイナス圏に沈んだのは2016年11月以来1年5カ月ぶり。個別銘柄ではエーザイ(4523)や東芝(6502)の純利益の上方修正率が大きくなった一方、パイオニア(6773)は下方修正率が大きくなった。
※QUICKコンセンサスDIとは
アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
製造業は10ポイント低下のプラス2
製造業DIは前月比10ポイント低下のプラス2だった。業種別では輸送用機器や機械に対する弱気見通しが増加。弱気見通しが全体的に増えるなか、化学は強気に傾いた。
非製造業DIは前月のマイナス3からマイナス幅が拡大し、マイナス6となった。情報通信などに対する弱気見通しが増えた。
DIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)だった業種は算出対象の16業種のうち、5業種。マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)は10業種、変わらずは1業種だった。
エーザイの2019年3月期の純利益、市場予想は568億円
個別銘柄を対象に3カ月前と比較して、純利益の上方修正率が最も大きかった銘柄は2カ月連続でエーザイ(4523)だった。市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(4月26日時点、9社)によると、2019年3月期の連結純利益(国際会計基準)は568億円の見通し。3月にエーザイが発表した18年3月期の予想の550億円を3%程度上回るもよう。同社は5月15日に18年3月期の決算を発表する予定だ。
半面、下方修正率が最も大きかったのはパイオニア(6773)。同社は4月26日、18年3月期の業績予想を下方修正し、連結最終損益を30億円の赤字から71億円の赤字に引き下げた。高収益のカーエレクトロニクス市販事業の低迷などが響いた。QUICKコンセンサス(4月23日時点、7社)では、2019年3月期の連結最終損益は14億円の黒字と黒字転換が見込まれている。