2期目に入った黒田日銀。市場関係者は金融政策の手腕をどう評価しているのか。QUICKが1日まとめた月次調査<債券>によると、債券担当者の半数以上がマイナス金利について不適切とみており、解除すべきとの声が7割近くにのぼった。4月の「QUICK月次調査<債券>」※では、これまでの金融政策の評価と今後について聞いた。調査期間は4月24~26日。回答者数は140人。
※QUICKでは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
黒田東彦氏が日銀の総裁に就任したのは2013年。1期目の5年間は大規模な金融緩和を推し進めてきたものの、就任当初に2年程度を目安としていた2%の物価目標は達成できなかった。債券担当者に日銀の金融政策・手段に対する評価を聞いたところ、最も不評だったのがマイナス金利だった。マイナス金利の導入は「不適切」だったとの回答が65%を占めたうえ、今後についてはマイナス金利を「解除すべき」との回答が66%に達した。
ETF(上場投資信託)の買い入れについても「不適切」だったとの見方が43%を占め、今後については「減額」すべきとの回答が68%と半数を超えた。国債の買い入れは妥当だったものの、今後は現行よりも買い入れペースを減額すべきとの回答が82%を占めた。
半面、2%の物価目標は「不適切」との回答が43%、「妥当」が40%と評価が割れる結果となった。
黒田総裁の1期目について100点満点で評価してもらったところ、単純平均で58.5点だった。最も多かったのは70点で、落第点とも及第点ともいえる微妙な採点結果。ちなみに、外為市場関係者の月次調査で同じ質問をした際は「60点以上80点未満」だった。
黒田総裁は4月に2期目の新体制をスタートさせ、27日に発表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では2%の物価目標の実現時期について「2019年度ごろ」としていた文言を削除した。目標達成は容易ではないが、実現に有効な最手段を聞いたところ、「成長戦略・構造改革など」との回答が約6割を占めた。
※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。