世界的な貿易摩擦や地政学リスクを背景にした円高・ドル安の進行は一巡か。QUICKが16日まとめた4月の月次調査<外為>によると、市場参加者は当面、円の対ドル相場が緩やかながら下落すると予想している。4月末の円相場の予想は1ドル=107円06銭と、3月調査(106円39銭)から円安・ドル高にシフトした。前月比で円安が予想されるのは5カ月ぶり。
※QUICKは株式や債券、外為部門などの市場関係者を対象に毎月、足元の景気や相場動向についてアンケートを実施。結果を「QUICK月次調査」として各部門ごとに公表しています。
外為担当者への調査は4月9~12日に実施。3カ月後となる6月末の円相場は107円72銭が見込まれている。3カ月後予想も5カ月ぶりの円安・ドル高だ。円相場の下値は堅いが、市場参加者の目線は円安・ドル高方向を向いている。
月次調査<外為>の各月末の円相場の予想(横軸は調査の月)
米国と中国の貿易摩擦は不安の種だが、「通商摩擦の激化への懸念は米中交渉が進む過程で弱まり、市場のリスク回避姿勢も緩和に向かうため、円安・ドル高方向で推移するだろう」(証券会社)。「トランプ米大統領は中間選挙に向けて夏場までに成果を誇りたいタイミング。夏に向けて政治面での不安材料が薄れ始めると金利差のドル優位が相場材料として重要視される」(銀行)。
保護主義的なトランプ氏に翻弄されがちな円相場だが、先行きは米連邦準備理事会(FRB)の政策が勝るという読みだ。今回の月次調査で米中が貿易戦争に突入すると思うかと聞いたところ、「思う」と答えたのは8%にとどまり、「思わない」が79%に上った。一方、仮に貿易戦争が始まると円相場はどのくらいの水準になるかとの問いには、62%が100円を突破して円高が進むと回答した。
※Qr1などQUICKの情報端末では、月次調査の詳細とヒストリカルデータをご覧いただけます。